第二話 ここはどこ?

「あ、起きました?」

そんな声が聞こえて、天音は声の方に顔を向けた。

『…え?』

天音が見たのは着物を着た男性。

しかし、男の人にしては少し身長が小さく、それでもスタイルはいい、そして何より、腰に帯刀していたのだ。

(これって、捕まるんじゃないの?私が言えたものじゃないけど。ってその前に)

『あなた、、だれ?』

小さな声で聞いた。

思ったよりも声が出なくて天音は自分でビックリしていた。

「僕ですか?僕は壬生浪士組一番隊組長沖田総司。びっくりしたよ、門の前で倒れてたから。」

『倒れ…て…た。』

沖田総司曰く、天音は壬生浪士組屯所門前で倒れていたそうだ。

格好は仕事着で。天音は最後の仕事終わりに飛び降りたので、仕事着=和服のままだ。

「ねえ、君の名前は?なんて言うの?」

『…白銀、天音。』

「白銀くんね…、起きたところで悪いんだけど、土方さんが起きたら連れて来いって言ってたんだ。ついてきてよ。」

少し冷めた目で沖田は天音に告げた。

(多分、間者だと思ってるんだろうな…。)

『わかった。』

沖田は天音が答えた時にすぐに部屋を出て行ってしまった。

天音は急いで追いかける。

といっても、呼んでいた主、土方の部屋はすぐ隣なのだが。

「ちょっと耳塞いでて」

?なんで?

そう思いながら、天音は耳を塞いだ。

天音が耳を塞いだのを確認した沖田はニヤッと笑い、息を勢いよく吸って

ガララララッ!

「ひっじっかったさーん、入りますよ〜!」

大きな音と声を出して部屋へ入って行った。

「お前、総司!いつも静かに入れといってるだろ!!って起きたのか。」

そのあと、怒鳴り声が聞こえたがすぐに普通に戻った。

なぜなら目の前に天音がいるから…。

「白銀くん、入りなよ。」

『あ、、、失礼します。』

控えめに、それでも礼儀正しく、天音は部屋に入っていく。

「座れ。」

ストン

天音は、多分?土方歳三に言われた通り、すぐに座った。

「先に自己紹介するか。俺は土方歳三。ここ、壬生浪士組の副長だ。お前は?」

『白銀天音。ねえ、今何年?何月?ここはどこ?』

天音は少し、いやだいぶ心配?だった。

なんでって、死のうとして飛び降りたのに、自分は今生きているから。そして、ある可能性が出てきたからだ。

「今は文久三年、三月。ここは京だよ。」

土方の代わりに、沖田が答える。

(文久で、京?やっぱり…。)

「白銀天音。」

『なんでしょう?』

土方が天音の名を呼んだ瞬間、部屋は一瞬で凍ったように寒くなった。

(…殺気?へえ、ますたーのより強いや)

そんな中、天音は呑気にお茶を飲んだ。

「白銀天音、お前、長州の間者か?」

『…いいえ、長州じゃない。生まれは京。でも、生きている時が、、違う。』

「「生きている時が、違う?」」

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