現代自殺少女と浅葱色の武士

葵穂乃歌

第1話 死んでも生きている

ビュービューと強い風がふく屋上。

そこに一人、少女がいた。

白銀天音。

武術に関しては全国制覇をし、国内で誰も知らない人はいない殺し屋、AMANE 。

そんな彼女は今まさに、飛び降り自殺をしようとしている。

なぜなら…。

『学校も、仕事も、全部やったし、もう私はいらない子だね。だったら私が何しても、誰も困らないでしょ?』

である。

彼女は学生であり、殺し屋だった。

そう、殺し屋だった。もう過去の話だ。

彼女の殺し屋として生きる期限は高校卒業まで。そして今日、彼女は高校を卒業した。

元々死にたがりな女の子だったため、そして殺し屋として生きてきたため、

休憩=死

ということをずっと考えていた。

『サヨナラ、ちょっとは楽しめたセカイ』

そして彼女は飛び降りた。

周りの人はそれを見て悲鳴をあげる。

グシャ

誰もがその音を想像したであろう。

しかし、彼女の姿は消えてしまった。

近くにいた人が言うには、地面スレスレの時に消えたそうだ。


彼女、、、天音は体に痛みが来るのだと思っていた。

しかし、痛みは一向に来ない。

不思議に思い、目を開けた。

目を開けたそこに見えるのは、見たことのない木製の天井。

『…死ななかった?』

何が起こったのかは知らないが、天音は死ななかったことに落胆した。

しかし、天音の周りは少しおかしかった。

本来なら天音は病室にいるはずだ。

天音の目に見えるのは畳…つまり和室である。

「あ、起きました?」

知らない声が聞こえてそちらを向くと、天音は現実を突きつけられたのだった。

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