第5話 乱戦 激闘

そういって近くの壁から爆風が響いた


?「あらら~?避けられちゃったのかな?爺やざんねーん外れ~~ぇうふふ」

そういって爆風の中から、黒いシルエットが現れる


爺や「ほっほっほ。なかなか勘がよろしゅうございます。・・はて、この爺ももうろくしてしまいましたかな?」

爺や「こんな子供ら一つ殺せず、愚の極みでございますね」


「だれっ!」

私はその二人へ叫んだ 見ると煌びやかな気品溢れる服に身を包む綺麗な女性と、老紳士の鋭い目が、私達を射抜いた


?「あらぁ?私の事知らない人っていたっけか?爺や?ここってそんなド田舎ちゃんだっけ~」


老紳士「ほほっ、姫様の名や御威光は、この世界で知らぬところは無いと存じますが」


?「あは☆じゃぁモグリ?モグリかなぁ♡だよねぇ、私の美に跪かない者はいないもんね?ね~ボクぅ」

?「お姉さん可愛いよね?勝ち目は無いんだし、この塔に居る不審者な悪い子ちゃんは死ぬか奴隷になるしかないのよん☆」


どこまでも、軽い感じだ・・確かに神々しい位、美人なんだろうけど、鼻につくのにそれを愛嬌で補ってる

男なら誰でも振り向く感じ・・いいなぁ


?「可愛いボクぅ?私の名前はわかるかなぁ?私の名前はねぇ・・」

?「花のように可憐な天使の女王、妖艶を司る魅惑の王、ブラーナ・サイケトリー・カナックス・・

長いから、カナ女王って呼んでいいわよ」


「へ、へんな人だ」


カナ女王「あら失礼ね☆そんなイジワルな娘は・・・死になっ!?」


そういった掴み所の無いその王女は身を翻し、唸りを上げる

何かの詠唱なのか高速呪文を呟いている


カナ女王「うふっ☆死になさい・・私の焦がれる炎の舞で、バーストフェニックス」

あどけなく高らかな声を放った瞬間、現実味を帯びないまま、その女王の背に、両翼の黒炎が迸る

私はただ愕然とするしかなかった


「嘘でしょっ・・?こんなの勝てっこない・・」

唇を噛み締め、私は死を覚悟した


カナ女王「諦めついちゃった?☆でも、逃がすほどお人好しじゃないんだよねぇ~ごめんね?」

そういって一気にこちらへ向かって来ようとした時


少年「女性だから、怪我をさせたくなかったのと、様子見してたかったんだけどね、でも・・」


少年が眼前に立ちはだかった


少年「他国の王達が、なにゆえか此処へ集まりだしてきてるんだ・・ボクも少し、本気を出そうかな」

少年「オイ!始めろ!」


少年が、胸元のポケットに声を張り上げた瞬間、どこからか爆撃が、この塔を襲った


?「ミゼル様~~ご無事ですか~手はず通りに、部隊配置、襲撃完了です~ぅ」


ミゼル「遅かったなロボ子・・何故遅れた?(怒)」


ロボ子「そ、そんな無茶ばかり申しつけられても、いくらメイドロボの私でも、こきつかい荒くありませんか~ぁ?」

ロボ子「それに途中変なオカマはいて邪魔してくるし、私だって遠征中の軍を引き上げて、かけつけてきたんですよ~。褒めて下さいよ~」


ミゼル「褒められたくば、この状況を何とかしてから言うと良い・・それに目的はまだ果たしてもいない。この先の道は解読出来たのか?」


ロボ子「あははぁ、それがですね~、大陸随一の機械性能持っても、古代魔力で封印された扉は無理でしたね~」

ロボ子「ってより、方法は多分無いです。このままいけば撤退ですかね?」


ミゼル「・・そうか。ただの骨折り損か・・まぁ、収穫はそこのお姉さんと妖精・・後は、本物の他国の王を拝見できた事くらいか」

ロボ子「あれあれ~?でもその妖精さんも、名も無き少女もおかしいですね~。上の魔方陣に近い独特な魔力が微かに感じますよ~」

ロボ子「いけませんね~ミゼル様。女たらしはだめですよ~ロボ子というものがありながら」


「い、いったいどんな状況なの?これ」


ロボ子「あはは~みんな驚いてますね~」


カナ女王「ぉい・・美の女王の華麗な技を、こともなげに無視かな?・・マジで消し飛ばすわよ?」


ミゼル「あぁ・・可憐な天使の女王様とやらが、さっきからいたんだっけ?でも、生憎ボクは・・」


ミゼル「ケバい女は、・・嫌いなんだよね」そういって、ミゼルと言われた少年は不敵に笑う。・・ちょっと可愛かった


老紳士「カナ様に対し、不遜な態度はこの私が許しませぬ・・死にませぃ!」

その老紳士の気迫は大気の熱を大きく纏い、まるで大きな虎の様な気を纏った」


カナ女王・爺「死になさい!/ 参る!」

二つの気を纏った技が、ミゼルを襲う


ミゼル「確かに・・魔法とやらは厄介だ・・ずっと、古代人の末裔を苦しめてきたのだから・・だが、だからこそ!」


ミゼル「ボクは、古代人の末裔、不屈の機械王ミゼルだ・・邪魔だてする奴は、我が名誉にかけて駆逐する!」


ミゼル「見よ!長年苦しめられた同胞が、長きにわたり研究を重ねた努力を・・」


ミゼル「魔道吸引・・倍にして返してあげるよ・・アモーレ・ミオ!」


そう言って、指にはめていたミゼルの指輪から、蒼炎が鳴り起こる

そして、抜群のタイミングで、さっきのメイド、ロボ子がミゼルの前にいた


カナ女王・爺「蹴散らしてやるわ!/ほほっ、機械ごときで我らの技は受け切れませぬ!」


そうして、女王達が爆風を轟かせて迫る

が、ロボ子の後ろにいたミゼルの指輪が絶えずロボ子を包み込み、ロボ子の服が破れていき、いっそうあらわにされた

そんな中、息つく暇なく、女王達がロボ子にぶつかり襲いかかった


ロボ子「ぐっぅぅぅぅぅぅ」 ロボ子が悲痛な声を上げる・・でも・・


女王「受け止めたっ!?な、なんでこんな奴に」


ミゼル「どうだ?うちのポンコツメイドにしたら、なかなかのものだろ?」


ロボ子「ふぇぇぇ~~ん。魔力指数がケタ違いで、吸収、敵へ還元率が足りませ~ん。坊ちゃん、力を!」


そう言ったロボ子の身体をとりまく、不思議な物質?魔力とは又違う様な・・

私はただ黙って闘いを静観するしかないのに、目の前の少年、いや、機械王はふてぶてしく言い放った


ミゼル「やれやれ・・これしきで保たないなんて恥知らずな・・いいだろう・・人に魔力はないが・・こうして研鑽を重ね

不可能を可能にしてきた、機械という「力」があるんだ。魔力の代替えとは言わないが、見せてやろうじゃないかっ!」


そういってミゼルは、あらわになった半裸のメイドの後ろに立ち、両脇に手を?いや、指を差し込んでいく


じゃぁ・・あのメイドは・・本当の機械なの?


ミゼル「これが、・・人の力さっ!いくぞロボ子!」

ロボ子「はいっ!ミゼル様!魔力還元完了!放出できます!」


ミゼル・ロボ子「アモーレ・ミーオ(私の愛しい太陽)」


カナ女王・爺「ぐっがぁぁ。な、何これっ、す、吸い取られ・・キャァァァァァ/お嬢様!緊急回避を!」


そうして、ミゼル達の前に、不思議な粒子が集まる

それは女王達の炎をたちまちかき消し、瞬く間に大きな光を放った!それは、正に太陽の如く、皆、一様に目を覆った


カナ女王「ぐっ・・あぁぁぁぁぁぁ」

爺「お嬢様!・・・ぐぅ・・これは、一体」

そうして、女王達の、魔力を、倍返しの大きさで炎ごと弾き返した様だった


ミゼル「ふぅ、フフフ、見たか。これが、我が機械の国の実力だ。魔法だけが全てじゃ無い」

ロボ子「ミゼル様ぁ、だ、大丈夫ですか?」

ミゼル「私語は慎め・・今はまだ戦闘中だ」


「だ、大丈夫なの?」


ミゼル「ふふ、驚かせた様ですまない。だが、まだ闘いは終わりじゃなさそうだ」


カナ女王「ぐぅぅぅ、よくも、玉の様な私の肌に、火傷を負わせてくれたわね」

カナ女王「しきり直しよっ。そう何度も同じ技が通る訳ないんだからさ」


ミゼル「ふっ・・お互い無理はしない方がいいとみたが・・?」

爺「お嬢様、ここは魔界屈指の悪魔としての意地として、爺にお任せ下さい」

爺「小僧・・王として機械の力、見せて貰いましたぞ・・ですが、二度同じ技はくらいはすまぃ・・いざ、第2ラウンドといきますか」


ミゼル「くそったれだね・・・だが、望むところ・・来いよ」


どうしよう、私には、何も助ける事も出来ない・・ミゼルも王の一人だったのは驚いたけど

ただ、今ならミゼル達が、このまま敵を足止めしてくれている


「ミゼル!ごめんなさい。私、先へ急ぎたいの。悪いけど、ここは任せるわ」


そういって、足早に、先へ進んだ


ミゼル達が又闘い出したのが聞こえてくる

ごめんね。ミゼル


「そういって奥へ行くと、奇妙な波動が感じられた

大きい門だ・・古くて頑丈そうな、年期を感じられる魔の門

門には、火炎に包まれた馬車と、竜が描かれている


「ど、どうしよう・・全然開きそうも無いわ・・まずい。このままじゃ、ミゼルやさっきの執事と女王達も追いかけてくる」


ジン「あ~ら・・そこにいたのね子猫ちゃんっ・・みぃ~つけた♡♦」


「・・っ。さっきのオカマ王」

気付いた瞬間遅かった


ジン「ご機嫌いかが?オカマじゃなくて、キラークラウン。又の名を絶世の美丈夫ジン・・なんてね」


ジン「ふふ、私から逃れられると思って?さっきは邪魔が入っちゃったけど、あっちでドンパチしてる間に、このまま任務遂行

させてもらわなきゃね?いや~ん☆これって泥棒猫じゃない・・やーね」


ジン「さて、この扉・・ちょっとやそっとじゃ開く気ないわねこれ。と、なれば、別な方法・・」


そういって、急に道化の様な笑顔をひきつらせ、私の背後にジンが迫った


ジン「アンタ、さっきも聞いたけど、どうしてこんなへんぴな塔にいる訳?おかしいと思ってたのよね~

だってここ、廃墟だとしても、それなりの魔法、いえ、呪縛結界みたいなのが張られてるから、なかなか入れないはず」


ジン「なのにアンタは、たやすくここに侵入しといて、記憶が無いフリしてる小悪魔ちゃんなんでしょ~ぅ?

引っかかる・・引っかかるわ~ん。泥棒猫は・・アナタだって、私の本能が訴えてるの・・わかるかしら?」


そういってジンは何故か、私の背後に一瞬で回り込み、胸と、臀部をなぞった


ジン「ふふ・・私、女は好きになれないんだけどね、この際は緊急事態だから仕方ないしさ、アナタのエナジーを喰らって

生き人形にしてあげるわ・・せっかくここまで来て、何も見つけられなきゃ洒落にならないしね☆」


そういって

ハァァァ~っ、と悩ましげな息を吐く。ジンが吐いた息が途端にかぐわしい匂いに変わり、それは甘い蜜のような甘美な妖しさに変わる

鼻孔をそれはくすぐり、次第に、全身と、瞳の力が抜けるのを私は感じた


ジン「アンタの魂・・も~~らい・・痛あぁぁっ!!」


ーキュゥゥゥゥィー


ジン「ぐっ!!なんなのコイツっ、わ、私の顔に、き、切り傷をつけやがって」

見ると、妖精が懐から飛び出し、ジンの顔に鋭利な傷を付けたのだ


ジン「ぐぅっ!風の精霊とでも言うのかしらっ!お生憎様、私の名前にも、風の王ジンってあるのっ!舐められた分。生かしちゃ

おけないわっ!!」


ジンの掌に、無数の風の魔力が光と混合し、衝撃波を帯びていく

途端に、ブチ切れたジンは、私達に目掛けてそれを放った


ジン「切り刻まれ、閃光にまみれて消えなさい!」

その瞬間だ

妖精は自身の身体から、鋭い刃をジンに放った


刹那

ジンはそれをギリギリで躱し、怒りの先をただ妖精に切り替えて光をぶつける

哀れに妖精はけたたましい声をあげ、光に叩き付けられた


ジン「フッ、アァ~ハッハッハァ。ざまーみなさい。アタシを怒らせる奴はこうなるのよ。せいせいしたわねぇ」

ジン「あらあら、無様に生き残っちゃってくれてんの~駄目じゃ無い、空気読んで死んでくれなきゃ。でも、

扉に叩き付けられて、虫の息ってところかし・・ら?・・ん?」


妖精は確かに扉にジンの魔法ごとぶつけられ、その様は見るに堪えないボロボロの状態だった

だが、妖精が扉の中央で甲高い悲鳴をあげながら、その後ろの扉では神々しく音を立てていく



ジン「・・はっ!面白いじゃないw こういう事な訳ね?ソイツ、この神殿の鍵みたいな存在だった訳だ

ふふっ、私ってやっぱり大天才なんじゃないのかしら?これで一番乗りよ~ん★」



ジン「さて、この先に何があるか、一番で見つけてあげるわ!オーホッホッホ。お先にしつれ~い♡」

そういって、ジンは、私達をあざ笑いながら、風の如く、妖精の力で開いた扉の向こうへと消えていった



私は、けたたましく移り変わる状況についていけず、その場に座り込むしかなかった



「ごめんね・・妖精さん。私・・なんにも力になれない・・誰の力にも・・消えちゃいたい。無力な自分なんて」



「「力」が、・・欲しいよぅ」

私はその場で寂しく、大粒の涙を落として、

扉の先と、瀕死に伏した妖精を見る事しか出来なかったのだった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

king~異世界王への成れの果て~罪と贄の七つの王冠 手児奈 @tekonyas-tekona

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ