Color world

運命が重なる時

重なる時

「それで……今は、どういう状況なのだ……？

言っておくが、先にも言った通り

お前は憎悪を抱くべき"敵"だと思っているが」

私は逃げ、走りながら言った

「……アンタ、よくそんなことを聞けるわね。

…言い直しましょう

よくそんなに冷静でいられるわね」

「……私は、様々な人物の死に携わってきた。

慣れているのだ。こんなことも。

悲しむ心を持っていない訳じゃないが

自然と冷静になってしまう。

こんなんだから、

自分のことを嫌いになってしまうのだろうな」

「……そうね。悪かったわ

過去のことを思い出させてしまったわ。

いや、今はそれよりも……」

「何となく、分かるでしょう？

こんなゴツい鉄の鎧を着た見回りは居ない……

こいつらはきっと、"軍"からの手先よ。

……そうよね、あなた」

「……ウゥ」

「それでは聞いておくが……何故秘書らを殺した？

彼らを殺す必要など……」

「あるわ。」

割り込むように言った

「アンタはあの人達の事を、

絶対に殺せないでしょう。

だから代わりにアタシが殺した。

正直、アンタの心に付け込むことが出来て

アンタのことを理解している彼らが

一番厄介な相手だったと思うわ。」

「……そう、なのか

……しかし私は、納得は出来ない

秘書達が何者かの親玉の手先だとしたら

その親玉との関係を断ちさえすれば

如何様にも出来ただろう……！！」

「……アンタ、マジで言ってる？

相手の色撃が何なのかわからない以上

こうするしかないの。

頭に血が上っているのはわかるけど

今は理解してちょうだい。」

「……わかった。それは甘んじて受け入れよう。

しかし、あやつらが"手先"とはどういうことだ？

どういう役割を与えられていたのだ？

お前は、何の為に城にまで来て逃げるようなことを…」

「……まずはあの秘書達のことを教えましょう。

あの人たちは、代々あなたの行動を上の人に知らせ

それと共に、アンタが知りすぎないよう

行動範囲を狭める役割もこなしてたわ。」

「代々……！？最初から私は

あやつらに行動を抑制させられていたのか……！？」

「……そこで次の話

なぜアタシがここに来たかだけど

アンタは玉座に座って感傷に浸っていたらしいけど

その玉座は、単なる"飾り物"に過ぎないのよ。

今のアンタは、ただの"人形"さんよ。」

「……人形、だと？」

「アンタが大昔に、"魔王大戦"で戦ってた間

あの手先達の"親玉"が裏で行動し、

必ずこういう結果になるよう仕向けた……

そしてその人物は、アンタと同じく

"不老"の力を持っている可能性が高い

つまり……アンタと"同格、もしくはそれ以上の

とてつもなく強大な何か"だわ」

「……ほう？」

「お前、未来から来たと言うが

妙に詳しいな……

何故そこまで詳しいのだ？」

「あら？紹介してないかしら？」

「……？」

「そろそろ来ると思うのだけど……」

バサバサッ

カァーー

「お〜い！何走ってんだよー！！

……て、白魔王！？」

「……カラス？」

空を見上げると、そこには数匹のカラスが居た

「紹介するわ。

このカラスの名前は"ミナミ"

黒魔術師の影の軍団、一番隊隊長をやっていたけど

その裏では"情報屋"をやっていた」

「……ほう、カラスが情報屋とは」

「どうやら召喚された際に、黒魔術師の目を盗んで

情報を売っていたようだわ。

このミナミとの関係性だけれど

ミナミと会っては情報の売買をしていた。

情報と言っても、アタシは予言だけれどね。」

「姉さん、その予言、本当に当たるとは……

"黒魔術師は草原で白魔王によって殺される"

だなんて

詳細すぎて、あなたが全て仕組んだことだと

思ってしまうよ。」

「……あの時に居たカラスが

何故こんな場所に……？」

「いや、姉さんに"予言が当たったら

魔人国の王城近くに来い"って言ったから来たが

まさか白魔王が同行してるとは……」

「まぁ、そういう訳で

情報はこのカラスと売買していたってこと。」

「……そんなことより次よ。

現状、この国にアンタの味方はいない。

しかしこの国を出てしまうと

凱旋皇がこの国に来て

軍と戦い、死んでしまう……

…………………………」

と言った途端、

彼女は考えに耽るように無言になってしまう

「……ならば、私の"影武者"を使え。」

「……アンタ、ナイス判断！！

そいつを身代わりにすれば

凄く動きやすくなるわ！！

名前は？どこに居るの？」

「名は……"シルバー・ドレイク"

私に似て、かなりの強者よ。」

「…！？あんた、そいつ……

いえ、あえて言わないようにするけど

影武者としてではなく、

未来ではかなりの有名人だったわ！」

「……ほう？

未来では私の影武者ではなく

完全に一人の男として確立しているのか……」

「……ここで残念なお知らせよ」

「……言ってみろ」

「この世界線で、アンタが人形にされていると知り

完全に孤立した世界線になったことで

ここから先、"何が起きるかわからない"わ

一分一秒、十分気をつけてね……」

「……それは私にとっては

最初からそうなのだが……」

「……そこで！！」

「？」

「私が居た世界で

間違いなく"最強"と呼ばれていた男が居るの！

その人の手を借りたいのだけど……」

「ほう、私よりも強いのか？その者は」

「それは……言っちゃ悪いけど、あの人の方が強いわ。

あの人は、人類が戦争を企むのを

阻止する為に生まれた

レジスタンスに所属していて、

凱旋皇が居なくなった時、そのレジスタンスは

混乱に乗じて反乱し、天下を取った。

その時、新たな"王"として名乗りを上げたわ。」

「……その者の名は？」

「……"カガミ・バン"。最強の色撃使いよ。」

…………………………………………………………

「う〜ん、これからどうしたものか…………」

俺は恐らく、今世紀最大の選択を迫られている

魔人との戦争を辞めさせられるのは

間違いなく、この情報を知った俺だ。

しかし……本当に俺しかこの情報を知らないのか？

他に知ってる人が居て、

もしも……"レジスタンス"的なものがあれば……？

「いやでもなぁ……」

そのレジスタンスと接触するのは

恐らく容易ではない

騎士軍との接触が全く無い場所に居る

しかしそこは、

探せばあるようなものじゃないだろう

ならば、何処に……？

「……おい、さっきから何考えてんだ？」

と、カラスが聞いてきた

「いや、どこかにレジスタンスとか無いかなって……

この状況を知る人は、きっと居るはず。

けどそれが分からなくて……」

「……レジスタンス、知ってるのだわ。

何度もスカウトに来るひとが居るから

存在自体は知ってるのだわ」

「そう簡単には会えな……えぇ！？」

白い少女が突然言う

「正確には、この社会の不平不満を募らせた

ただの半グレ集団なのだけど……

その中には、この情報を知る人物も

いると思うのだわ」

「それは何処に？」

「さぁ……ずっと拠点を変え続けてるから

何処にあるかは、正確にはわからないのだわ……

だけど、多分今は東の地方にある

"トルナンド町"にあるって

この間きいたことがあるのだわ。」

「それなら！」

「おう、仲間が少ない今

そこに行って今を知る人間の仲間になれたら……！」

「会うなら急いだ方が良いわ

最近スカウトが来たのは、五日前のことだわ。

ワタシは行かないのだわ。

ヴァーズさんをもう一拝み……ゲフンゲフン

魔術師代表について話があるから

また戻るのだわ！」

世界大会も延期される可能性が高いので

俺はしばらく旅をすることにした

この先どんな苦難があろうとも

俺がこの戦争を阻止するんだ……！！