★NIHONGO小話☆ 「お」を付ける

「おひや」「おでん」「おから」などは、元々「お」が付いていなかった言葉たちでした。

 しかしこれも「しゃもじ」などと同様に、室町時代の女房たちがそれらの言葉に「お」を付けて遊び、いつしか庶民にまで広がった「女房詞にょうぼうことば」です。

「おひや」は元々「ひや」だったものが「おひやし」となり、それが略されて今の形に。

「おでん」は元々「田楽豆腐」だったものですが、それに「お」を付け、豆腐も省略。「おでん」となりました。

「おから」は「(大豆の)殻」から出来たものです。

 ちなみに、「おから」は「きらず」とも言います。これについて『明鏡国語辞典』と『新明解国語辞典』では、下記のように説明しています。


【きらず】『明鏡国語辞典 第三版』

 豆腐を作るときのしぼりかす。おから。うのはな。

 ▽切らずに使える意。「おから」が「カラ」に通じるのを嫌って言い換えた語という。


【きらず】『新明解国語辞典 第八版』

 〔切らないで使える意〕豆腐の「おから」の異称。

 〔カラが「骸」に通じるのを忌んだものという〕


「きらず」は、「忌み言葉」を避けるための言葉だったんですね。それにしても「おから」に異名があったとは、私も初めて知りました。

 ちなみに、「きらず」を漢字表記すると当然「切らず」と書くのですが、もう一つ表記の仕方があるんです。「雪花菜」と書きます。可愛らしい名前ですよね。雪の花のようだったから、そのように付けたのかもしれません。


 他にも、「おかか」「おいしい」も「お」が付いた女房詞です(『日本人の知らない日本語』より)。

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