★NIHONGO小話☆ 「しゃもじ」の由来

「しゃもじ」は、ご飯をすくうためのものですね。元々は「杓子しゃくし」といわれていて、辞書で調べてみるとこんな風に書いてあります。


【杓子】『明鏡国語辞典 第三版』

 汁や飯をすくうのに用いる道具。柄の先に中くぼみの小皿をつけたような形をした汁用と、先の丸い平板形をした飯用がある。


 室町時代までは「しゃもじ」も杓子と言われていたのですが、当時の宮中の女房が「もじ」という音が気に入って、色んな言葉に「もじ(文字)」を付けたのだそうです。このように、女房が作った言葉を「女房詞にょうぼうことば」と言います。

 そのため杓子は「しゃもじ(杓文字)」、かつらは「かもじ(髪文字)」、ゆまきは「ゆもじ(湯文字)」、ひだるしは「ひもじい(ひ文字)」などなど、女房詞が沢山生まれました。「しゃもじ」は今でも使いますよね。また、杓子のときは汁物をすくうものも一緒くたにされていたので、それを考えると、「しゃもじ」が生まれたことで飯用のすくうものと区別出来て便利になったのかもしれません。


 これについて『日本人の知らない日本語』(株式会社KADOKAWA)の著者の一人、海野凪子さんは「当時のギャル語」なんて表現していました。なるほどなと思います。

 それにしても上記に挙げたギャル語は、今も生活に根付いていてすごいですよね。「しゃもじ」だったら、お米を自分で炊いて食べる人なら毎日見るでしょうし。

 ちなみに、女房詞が庶民にまで広まったのは江戸時代。SNSのない時代ですから、さすがに広がるまで時間がかかりました。

 新しい言葉は次々と生まれてきますが、室町時代のギャル語が今の時代まで残っているというのが何だか感慨深いです。

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