Column3 新しい辞書

 2022年3月に、『NIHONGO』を書く仲間として『新選国語辞典 第十版』を迎え入れました。


 2020年の末くらいからでしょうか。辞書の改定ラッシュが起こっていて、どんどん新しいものが出てきましたので追いかけています。しかし辞書が増える喜びの裏に、懐が寒くなるという悲しみが……(これから春なのに……笑涙)。


『新選国語辞典 第十版』は、通常サイズとワイド版があって(ワイド版が一般的な辞書のサイズです)、私は後者を購入しました。通常サイズ(小さいサイズ)は中学生や高校生にいいかもしれないですね。今はほとんど電子辞書だとは思うのですが、これは紙の辞書の中でもコンパクトで、開いても場所を取りませんし、持ち運ぶにもいいと思います。でも、大人にはちょっときついかも……。字は小さいですし、見た感じが「ぎゅっ!」と詰まりすぎてて、私には読みにくかったです(笑)


 しかし、いいところは沢山あります。

 まず、デザインが素敵なんですよ!

 上手く説明できないので、小学館のサイトから引用しますね。


(下記引用)


 万華鏡をモチーフにデザインされたケースには特殊加工を施しました。塩化ビニールの表紙は輝くような淡いパール調を選定。流麗な柄のエンボス加工と色箔を贅沢に使用しました。

 使う人、贈る人、贈られる人の気持ちを想像して作りました。


(引用終了)


 とのこと!

 本体の表と背表紙に万華鏡をモチーフにしたデザインが、エンボス加工がされているんですけど、とっても素敵です。ワイド版は淡い黄色でして、その背表紙を見ているだけでも、棚の一角がお洒落になります(と、私は感じています)。


 次は、中身の話もしていきましょう。

『新選国語辞典 第十版』に収録されている語数は93,910語。類書中最大級といわれています。ということは、同じタイプの辞書の中でも沢山の語を収録しているのだと思います。

 新しい言葉も、約4,000語を収録しているそうで、新型コロナウイルスのニュースでもよく耳にした「エッセンシャルワーカー」や「ソーシャルディスタンス」という言葉も載っています。

 私は『新選国語辞典』自体初めて使うので、まさかこんなにに新しい言葉を積極的に入れる辞書だとは知らず、驚きました。『三省堂国語辞典』と並んで、新しい言葉に強い辞書と言えそうですね。


 しかし、今回『新選国語辞典』を購入した一番の理由は、新語の多さではなく、表記についての内容が充実していることでした。特に発音によって表記が変わりがちなものを調べるのに最適です。

「バイオリン」なのか「ヴァイオリン」なのか。「ウイルス」なのか「ウィルス」なのか。これらは慣用的な書き出しと標準的な書き出しと2つがあって、慣用的な書き出しが認められる場合は、両方記載されています。

 最近は外国から入って来た言葉をそのまま使う傾向があるので、それほど戸惑うこともないかもしれませんが、それでも発音によって表記に迷うことがあります。

 そんなとき『新選国語辞典』があれば、どういう書き出しをすれば良いのかが分かります。ホント、心強い味方です。

 ちなみに、上記に挙げた「バイオリン」「ウイルス」は標準的な書き出し、「ヴァイオリン」や「ウィルス」慣用的な書き出しと分類されています。

 こういった音が関わる表記は、結構難しい問題のようです。小説などであれば最初から最後まで表記が統一されていれば「ヴァイオリン」でも「バイオリン」でもよいですが、新聞や公的な書類の場合はややこしくなるようなので、組織によっては固有名詞以外は「バ」「ビ」「ブ」「ベ」「ボ」と表記することもあるそうです。つまり「バイオリン」と表記するということですね。

 これは本当に難しい問題で、日本語以外の言語を日常的に使うことがある人からすると、発音に近い表記をしたいという感覚があるようですから、個人的な書きものに関しては特に個性が出るところだと思います。

 しかし、読み手のことを考えて書くのであれば、どういう表記がよいのか、ということについて、『新選国語辞典』ではアドバイスしてくれるということですね。


 他にもよいところがあるでしょうから、それは今後使っていくなかで知ることができたらと思います。面白い発見があったら、またColumnに書こうと思います。

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