Column2 敬語の話

 最近、少しずつ敬語について調べております。

『NIHONGO』の連載をしていて、なかでも敬語の話がよく読まれるようなので、別途敬語だけに焦点を当てたものを書こうかと検討しているためです。


 それで、敬語のことを一から調べているのですが、書籍によって「使っていい敬語」「使ってはダメな敬語」が分かれていることがあるんです。でも、そんなことが起きているなんて普通は知らないと思います。

 ほとんどの項目に関しては、それほど心配する必要はないですが、該当するものがあった場合「どちらが正しいの?」という議論が生まれてしまいます。これは敬語を使う上で問題ですよね。


 例えば「了解いたしました(「了解しました」も含む)」という敬語。

 これは書籍によって「正しい」「間違っている」が分かれているんです。私が持っている敬語関連の書籍を読んだところ、少なくとも2冊には「間違っている」「目上の人に使うのは失礼」と記載がありました。

 しかし辞書をはじめ、信憑性のある情報を収集したところ、「了解いたしました」は「使っていい敬語」と記載がありました。

 なぜ、「了解いたしました」が「間違い」と言われるようになったのか。それについて、ライターの菊池良氏が徹底的に調べています。

 簡単に説明すると、2011年に発行されたメールの指南本で、「『了解』という言葉には敬意が含まれていないから、敬語として使えない」という書き方をされていたのが始まりのようです。それ以前には、「了解いたしました(了解しました)」を使ってはいけないとする書籍はありませんでした。

 しかし2011年のその書籍の発行をきっかけに、「了解いたしました(了解しました)」が誤りというのが広がっていきます。理由として、新しい敬語の書籍を書くにあたって、2011年に発行されたその書籍も参考資料として使われたことが言えそうです。(私が持っている敬語の書籍で該当したものも、確かに2011年以降に発行されたものでした)

 もし気になるようでしたらこのColumnの最後にURLを添付をしていますので、記事を読んでみて下さい。


 敬語が分からない、敬語のことをきちんと知りたいと思っているにも関わらず、書籍によって違うことが書かれているとは、なんとも皮肉なことです。

 それくらい敬語は難しいともいえるのですが……。



【参考URL】

「了解しました」より「承知しました」が適切とされる理由と、その普及過程について(菊池良氏)

https://liginc.co.jp/246919

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