Column4 日本語は話すのが楽な言語

 前回、私は日本語関係の書籍を買い漁ったと書きましたが、そのなかで多くを占めているのが、井上ひさしさんと大野晋さんのものです。

 井上ひさしさんと言えば、『ひょっこりひょうたん島』を書いた脚本家として有名ですけれども、日本語学(と言っていいのか分かりませんが)に関しても明るい方です。そのため、日本語に関して沢山執筆されています。


 大野晋さんは、井上ひさしさんの著書を読んでいると頻繁に出てきます。

 日本語研究の一人で、この方の著書も比較的分かりすい内容で記載されており、大抵のことはこのお二人の書籍を読めば解決します。大野さんよりもさらに過去にさかのぼり、そのとき研究していた人の資料を読むとさらにディープなところに入っていく感覚があるので、今はこれくらいが丁度いいなと思って読んでいます……(笑)


 井上ひさしさんの著書のなかで良く出てくるのは、日本語は言語の中でも「特殊」ということです。特殊な理由は色々あるのですが、まず何といっても音節が少ないことです。濁音節や拗音節を足しても「101」しかないと言います。これを数えたのは、金田一春彦さんです。

 一応、誤解しないように書いておきますが、この音節は時と場合、使う方言によっても変わってくるようなので、いつも「101」とは限りません。実際、金田一さんが数えたものも書籍によって「101」だったり、「102」だったりするので、音節として入れるか入れないか微妙な音があるということですね。しかし、それでも世界的にみてこの音節の数はとっても少ないということは言えそうです。

 とりあえず、日本語の音節は「101」としてお話しますが、そうは言っても少ないかどうかは分かりませんよね。ということで、他の言語を引き合いに出してみましょうか。

 中国語は「400」程度、英語は「3,000」以上。英語に関しては、未知数のようでこれからもっと増えていく可能性もあるかもしれません。

 私がこれについて読んだ井上さんの著書は、平成14年出版のものなので現在はどうか分かりませんが、今でも増えているかもしれません。そのくらい多いのです。


 日本語と言うのは、発音が本当に簡単な言語です。それは勿論、音節が100程度しかないからにつきます。アクセントとかもありますけど、それはつけなくても分かります。

 「雲」と「蜘蛛」、「雨」と「飴」は違う、というご意見もあると思いますが、井上さんによると、アクセントは二の次なんですね。それは、アクセントが存在しない地域、つまり方言があるせいなんです。

 井上さんは東北出身なので、そちらの言葉、方言にはアクセントがないところがあります。他にも、北関東にもアクセントがない地域があるのですが、その話はまた別の機会に。


 日本語の発音についてですが、以前、言語学の勉強を齧ったときに「まんが」などにある発音「鼻濁音」について学びました。鼻濁音とは「んが」というときに、鼻にかかって出す音のことを言います。でも、今の若い世代のなかにはできない人も多くいるようです。

 理由は確か、「標準語ではその『んが』という発音がないから」と当時の先生が仰っていたように思いますが、記憶が曖昧なので間違っていたらすみません。

 でも、私たちは鼻濁音なんて使わなくても「まんが」は「まんが」って分かりますよね。だから、アクセントは二の次なんです。と、私は納得しています。

  

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