全て終わって

裁判が終わり、二人は当然の様に檻へ入る事になった。


私の元夫であるスリムト・ラッセンドルフは詐欺で五年、浮気相手であるミカナルは詐欺と殺人未遂で十年も閉じ込められるみたい。


普通は詐欺でそこまで長く閉じ込められる事はないけど、調査の結果、お父上から金を貰う為に仕事の為と表して様々な書類を偽造していたとか。


人を騙して贅沢三昧をした罪で、これからは毎日の様に強制労働をする事になるだろう。


例え刑期を過ぎて檻から出られても、二人の居場所は既にない。


何故なら……人を騙して金をむしり取った極悪非道な二人の噂が広まってるから。



「大変だったわね、そんな人が夫だったなんて」


「そうなのよ。借金の返済をしてるから仕事が忙しいなんて言いながら、本当は浮気していただけなんて……まぁ、過ぎた話よ」


浮気の件が落ち着いた後、ハルス・ウィクトニアからお茶会に誘われた。


最初は乗り気じゃなかったけど、こうしてのんびり過ごしながら過去の不満を吐き出すと、心の中がスッキリしてくる。


それに浮気の事を話したら、お父様が護ってきた家の名に傷が付くと不安だったけど、みんな事情を分かってくれるし色々な支援も頂けた。


何より……新しい恋も始まりそうになってるし。


「ドレスが随分と馴染んできたな。似合ってるぞ、スファニ」


「毎日の様にお茶会やら舞踏会やら誘われたら慣れるわよ、ハルス。それはそうと新しい仕事には慣れた?」


「まだまだだな。だが、ようやく落ち着ける仕事につけた訳だし、早く慣れていかないと」


ハルスは浮気の件を解決してお父上に喜ばれ、自身の交友関係を活かした仕事についている。


そんな彼には不思議と、恋愛経験がないらしい。


彼曰く、「今まで浮気等の問題を解決してきたから、どうにも恋と言うのを信じられん」との事。


だからこそ私が、「それなら私と付き合うのはどう? 家で一人を過ごすのって寂しいのよね」と言ってみたら、顔を赤らめて困惑していた。


今はまだ、私も恋というのを信じられてないけど、私を助けてくれた彼は信じられそうな気がする。


「大丈夫、すぐに慣れるわよ。それと、今度のお茶会は私の家で行おうと思うの」


「スファニの家でか? そりぁいいな、初めては大変だから俺も手伝うよ。それで、誰を呼ぶ予定なんだ?」


「そうね……貴方とか、どう?」

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(完結)お金目当てで噓つきな旦那様には、付き合いきれないので復讐してから婚約破棄します。 アイララ @AIRARASNOW

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