第70話「Ti amo」
クリスマスは終わったが、それからしばらくソフィアは日本に滞在した。
せっかく日本に来たのだから、観光をしたいとの理由らしい。
マリアもそれに付き合い、連日どこかしらに行っていた。
俺も一緒に行かないかと何度も誘われたが、連日バイトがあって行けなかった。
そんなこんなで、12月31日。
今日は、ソフィアの帰国日だ。
さすがに年末なので、俺もバイトはなく、マリアと二人で空港まで見送りに行くことができた。
「Stai attento」(和訳:気を付けて)
「Grazie」(和訳:ありがとう)
そう言い、さも当然かのようにハグをする。
これがヨーロピアン・・・すげぇ。
「あいと!」
「あ、はい」
いきなり、名前を呼ばれてソフィアに手を引っ張られる。
そして、彼女の口元へ、耳を近づけさせられてから・・・。
「毎日愛してるって言ってあげて、きっと喜ぶから。それと、キスぐらいしてあげなさいよ」
ついでに、俺の頬にキスして、そのまま手を振りながら搭乗口の方へ行ってしまった。
頬にキスと言うと、日本人の俺はかなり動揺してしまうのだが・・・。
「・・・?」
そっとマリアの方を向くと、特に気にしてる様子はなかったです。
何日か前に、後ろから抱きつかれた時はあんなに拒絶するような表情をしていたのに、違いが分からなんなぁ・・・。
そしてこの一週間、ソフィアが家にやってきて、少し思ったことがある。
それは、マリアが今、何を求めているのかだ。
マリアとソフィア、家にいた時は、俺とマリア以上にスキンシップをとっていた。
会話している時の表情とか、トーンとか、すごく楽しそうに見えた。
他にも、、、色々と嫉妬するところがあった。
マリアは日本人じゃない。
国が違えば、当然文化も違うわけだ。
だから、恋人に要求することも、当然変わってくるはずだ。
マリアは口にしないけど、多分、現状よりも何か違ったことを求めているはずだ。
「なぁ・・・」
「なに?」
「帰ろっか」
「OK」
「それと、ティ アーモ」
日本語や英語だとちょっと恥ずかしいので、ソフィアに影ながら教えられた言葉、イタリア語で“愛してる”と伝え、その
ままマリアの手を握りしめて、帰宅した。
マリアのこと、もっと分かってあげないといけないもんな。
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