第69話「特別な贈り物でも、安価で実用的なもの」


クリスマスである今日、この狭いワンルームには、可愛い女の子が二人もいるのだが・・・。



「暇だな」


「ランバイリヒ」


「noioso」



※全員“暇”とか“退屈”とか、そんな感じの意味です。



とにかく暇だ。恐ろしいほどにやることがない。



「マリアやソフィアは、クリスマスって何をするんだ?」


「do nothing」(和訳:何もしない)



あ、マジですか。


まぁでも、日本の正月もこんな感じだよな。


そう思い落ち着き、またこたつで暇な時間を過ごす。



「I remembered!」(和訳:思い出した!)



こたつの温かさにウトウトしてたら、マリアが急に声を出し、いっきに目が覚める。



「どうした?」


「I forgot. This is for you」(和訳:忘れてた。これどうぞ)


「くれるのか?」



マリアが慌てて持ってきたもの、それは、包装紙に包まれた箱だった。その箱を、マリアは俺に差し出す。



「It's a Christmas present」(和訳:クリスマスプレゼントだよ)


「あ、ありがとう。あ、でも俺は用意してない・・・」


「いらないよ」


「そういうわけには」


「そう? 嬉しい」


「今度、必ず渡す」


「I'm looking forward」(和訳:楽しみにしてる)



んで、マリアからもらったプレゼント。箱は細長く、それでいて軽い。



「Perché non lo apri?」(和訳:開けてみたら?)



そう、ソフィアが冷やかす。


何を言っているのかは分からないけど、冷やかしているのはわかる。不思議なものですね。


ソフィアが何を言っていたにせよ、俺自身がこの中身が気になるところだし、開けてみますか。


包装紙を丁寧に取り、箱をそっと開ける。



「こ、これ・・・」



中身は、クリスマスカードとドイツ語勉強の本!?


確かに、前々からドイツ語は勉強したかったけど、マリアがあまりいい反応をしなかったので、あえて控えていたのだが・・・。


んで、なぜかレシートが本に挟まってました。


そういや、ドイツって気に入らなかったプレゼントを返品するという、世にも恐ろしい習慣があるって聞いたことあるな。


レシートをプレゼントの中に入れるかどうかは個人差があると思うけど、理由は何となく察せた。


まぁもちろん、俺は日本人だ。人からもらったプレゼントを返品するなんてことは絶対にやらない。


日本にそういう習慣はないからね。



「ありがとう」



改めてお礼を言うと、マリアの頬が真っ赤になっていく。表情は笑顔で、嬉しそうだ。


今度、マリアが喜ぶお返しをしないとな・・・。



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