第65話「お酒は二十歳になってから」


寒い冬の道を歩く。


買い出しには、結局マリアとソフィアもついてきて、三人で行くことになった。



「freddo・・・」



この中で一番寒がってるのはソフィアだ。


イタリアの気候は詳しくないが、地中海側ってなんか暖かいイメージあるよね。だから慣れてないのかな?


寒い道を歩き、スーパー到着。


俺は適当に夕食の材料をカゴの中に入れる。


んで、マリアとソフィアに関しては、スーパーに入るやいなや二人でどこかに行ってしまったので、どこにいるのかは分からない。いや、まぁ大体想像できるけど。



「あ、やっぱいた」



買う商品をカゴの中に入れ終わり、最後に、二人がいそうな通路へ向かう。


何ヵ所か候補はあったのだが、まさか一発目で見つかるとはね。


んで、その通路というのが、お酒コーナー。二人が見てるのはワインのところだ。



「ワインでも買うのか?」


「グリューワインにして飲むのよ」



ぐ、グリューワイン? 聞いたことないな。



「というか、ソフィアって20歳以上か?」


「どうして?」


「あいや、マリアが20歳なのは知ってるけど、ソフィアは年齢聞いてなかったような気がするから」


「どうして?」



日本語通じてますか?


直接ソフィアに伝えればいい話なのだが、彼女は日本語も英語も通じない。


そして、彼女が唯一わかるイタリア語に関しては、俺が喋れない。


これを世の中では“詰み”と言う。



「マリア、ソフィアに何歳か聞いてくれ」


「Quanti anni hai?」(和訳:あなたは何歳ですか?)


「17 anni e 41 mesi」



マリアが初めて通訳っぽいことをしてくれたけど・・・。



「17歳と41ヶ月だって」


「つまり・・・20歳?」


「17歳と41ヶ月だって」


「え・・・だから、要するに20歳」


「17歳と41ヶ月だって」


「あ、はい」



17歳と41ヶ月らしいです。


まぁどの道、お酒は飲める年齢だからセーフです。そういうことにしておきます。


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