第64話「これが普通なのか? それともからかってるだけ?」


狭いワンルームの部屋に、ドイツ人とイタリア人、そして俺、日本人がいる。


うーーーーーーーーん。


この三ヵ国、歴史で出てきたよね。確か1940年くらいに。まぁいっか。


んで、最近はマリアも日本語で話してくれるので、言葉が通じないというストレスはあまりなかったのだが・・・。



「Com'è la tua vita in Giappone?」


「piacevole」



ソフィアがイタリア語しか話せないらしく、マリアもそれに合わせてイタリア語。


イタリア語がわからない俺の肩身が狭い・・・。



「Aito non capisce l'italiano?」(和訳:愛斗はイタリア語わからないの?)


「Giusto」(和訳:そうみたい)


「Allora ti occupi dell'interpretariato」(和訳:なら、あなたが通訳ね)


「mi rifiuto」(和訳:嫌よ)



何を話しているのかわからないが、イタリア語ってテンポが良くて、聞いててカッコよく見えてしまう。


何を話しているのかわからないけどね(ここ重要)。


とはいえ、マリアとソフィアが楽しくお喋りをしているので、俺が入る幕はないか。


そう思い、黙って買い出しへ行こうと玄関に移動する。


靴を取るためにしゃがみこんだ瞬間、後ろから抱きつかれました。


いや待てよ、これ・・・マリアじゃない!?


明らかに違う、まず匂いから違う。あいや、気持ち悪いかもしれないけど、実際体臭って人によってかなり違うからね。



「え、なに?」


「dove stai andando?」


「え・・・え?」


「dove stai andando?」



言ってることが分からない。マリアさん、助けてください。


そう思って、マリアの方へ目線を向けるが・・・。


はい(察し)。マリアさん、死んだ魚の目をしてました。


そりゃそうよ。だってこのイタリア人、ガールフレンド目の前にして俺に抱きついてるんですもん。そうなるわな。



「俺はどうすればいいんだ!?」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る