第48話「翻訳機って、会話するときは使えないよね」


夜になりました。


姉貴は本当に居候するようです。帰る気配を感じません。


んで、今は飯を作るために俺が台所にいて、マリアと姉貴が二人で居間にいる状態なのだが。



「・・・」


「・・・」



すげぇー無言です。


姉貴は無慈悲にもスマホをいじっているが、マリアはただ座ってるだけだ。


もしかしたら、姉貴に話しかけるタイミングを見計らってるのだろうか。


んでも、姉貴は英語が通じないからなぁ・・・。



「Hey?」(和訳:おーい?)



しばらくすると、しびれを切らしたマリアが姉貴に向かって話しかける。



「へ、へい?」



急に話しかけたからなのか、それとも英語だからなのか、あるいはその両方か・・・。何がともあれ、姉貴、めちゃくちゃ動揺しています。


そして、スマホを何やら操作している・・・。



「あぁ・・・」



台所からチラッと覗いてみると、グ〇グル翻訳を開いていた。


まぁね、便利だよね。



「What's your name?」(和訳:あなたの名前は?)



さすがにこの文はわかるでしょう。



「ワッツ・・・え、えーっと・・・咲良、よ?」



え、いま若干戸惑ってなかった?


気のせい?


What's your name? の意味を理解してなかったような・・・?


いや、深くは考えないことにしよう。



「I'm Maria. Regards from now」(和訳:私はマリアよ。これからよろしく)


「あ、うん。リガーツ?」


「Regards from now」(和訳:これからよろしく)


「フ、フロム・・・どこから来たかってことかしら」



from now は、“今から”“これから”とか、そんな感じの意味ですよ、姉貴。



「・・・?」


「えっと、この近く。ニヤー」(near/近い)


「・・・?」



言葉が通じないって、不便だな。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る