第47話「知識がないと、知識のある奴に騙される」


ハーレムという状況に近いのだろうか。


俺が一人暮らしをしていた狭いワンルームに、半年で成人女性が二人も居候し始めました。


うち一人は、ドイツから来た、出会いが不詳すぎる女の子。

もう一人は、俺の実の姉貴。


全然ハーレムじゃねぇ・・・。


んで、最大の問題なのが。



「君たち、寝る場所はどうする」



寝る場所問題。


というか、そもそも三人がキャパオーバーなんだよ。


ゆえに、どこにどうやって寝るのかが問題になる。



「いつもはどう寝てるの?」


「えっと、・・・あいや・・・」



ヤバい、正直に答えて、思いっきり地雷を踏んでしまうところだった。


恋人同士じゃないと言っている以上、一緒に寝ているなんて死んでも言えない。


だけど・・・。



「I'm sleeping together」(和訳:一緒に寝てるわ)



マリアさん、いらんことほんとに言わないで。



「えっと、す、すりーぴんぐ?」



姉貴が英語下手で助かった。



「ほら、この机どかしてさ」



真ん中にあるゆか座敷のテーブルをどかし、一人はベッド、一人は床で寝ていると説明。


マリアは首をかしげるが、姉貴に英語が伝わらない以上、こちらが優勢。



「あっ・・・マリア! ドントスピークジャパニーズナーウ」(Maria, don't speak Japanese now/マリア、今だけは日本語話さないで)



そういえば、マリアはたまにめちゃくちゃ流暢に日本語を話すのを忘れていた。


とりあえず、先手で口止めしておく。



「how come?」(和訳:どうして?)


「アイウィルオウベェイ エニワンコメェーンドゥ」(I will obey any one command/一つだけ、何でも言うこと聞く)


「Understood」(和訳:わかった)



満面の笑みを浮かべ、グッ と、親指を立てて承諾する。


そんな光景を見た姉貴が。



「今の会話、和訳しなさいよ」



やっぱそうなりますよね。



「いいや、大したことじゃないよ」


「和訳しなさい」


「え、えっと、いつも床とベッドで寝てるよね~って感じ」


「なるほど」



勝った! バカって最高だ!


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