第10話「優しくするのと好意を向けるのは別モノ」


道を歩く。そう、ただの道だ。


そして隣にいるのが、我が友である裕太。


こいつには変な誤解があるのだが・・・。



「分かってくれたか?」


「まぁ記憶喪失は聞いていたからな。とはいえ、女の子を家に連れ込む時点でもう、ね?」



ダメだこいつ、全然分かってない。



「なぁ裕太、マリアはいつまで俺の家に居るつもりなんだろうか」


「永遠にじゃない?」



マリアと同じ回答である。



「勘弁してくれよ」


「あれ、愛斗って好きな人とかいたんだっけか」


「いないけど、どしたん急に」


「だったら良くね?」


「そんな軽いノリで!?」


「ミアちゃんもそうだと思うよ」


「いいや、ドイツ人はそんな国民性じゃないと俺は信じてる」



ちなみにミアとは、マリアのニックネームだ。


どうやらドイツでもそう呼ばれてたらしい。


まぁ俺はマリアと呼ぶがな。



「国民性って、人によるだろ」


「よく分かったな」


「ボケとツッコミが逆転してるぞ・・・」



そんなこんなで、たどり着いたのが巨大モール、いわゆるショッピングモールってやつだ。



「にしても、何だかんだ優しいんだねぇ」



着くやいなや、裕太がいじりげな表情で言ってくる。


というのも、今日はマリアの日常グッズを買いに来たのだ。いわゆる日用品。


まぁ永遠というのは困るけど、このまま放り出すわけにもいかないしね。


んでそうなると、生活するために色んなモノが必要になってくるわけだし、せっかくだから買ってあげようということだ。


ちなみに、ご本人様は本日寝ていたので起こさないで来ました。


まぁ小っ恥ずかしいから最初から連れてくる気はなかったけどね。


交通費とかもかかるし。



「やっぱ好きなんじゃないの? ミアちゃんのこと」


「違います」


「へぇ〜?」


「うざいなお前。そういや、助っ人呼ぶとか言ってたけど」


「あぁそれな、そろそろ来るでしょ」



裕太の女友達が助っ人として来るらしい。


まぁ買うものが女性用品だから、男二人でノコノコ買い物しても、まるで分からないことだらけだからな。



「おまたせ〜」


「お、噂をすればだな」


「あの子がそうなの?」


「おうよ。あ、見惚れちゃダメだぞ? 愛斗にはミアちゃんがいるんだから」


「うるせぇ!」


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