第9話「好きって言われたら誰だって照れるもの」


大学の講義が終わって、適当にコンビニで買い物をする。


そして家に帰ると。



「Hello ハーブング バーツッ」



やっぱりいるんだよな、マリア。


あと、言ってることが分からないです。



「あの、いつまでここにいるつもりなの?」


「イーデヒ」


「はい?」


「eternally」(和訳:永遠に)


「冗談はやめてくれ」


「I'm serious」(和訳:本気だよ)


「えぇ・・・」



とはいってもなぁ・・・。



「なんで俺にこだわるんだ?」



マリアが俺にこだわりがあるのはわかった。


でも、俺がドイツに滞在していた期間なんてたかだか二週間。しかも、うち一週間はドイツに限らず欧州各国を転々としていたので、俺がニュルンベルクに滞在していたのは実質一週間だろう。


記憶がないからなんとも言えないが、そんな短期間で、ここまで人に惚れるってことがあるのか?


ロマンチックではあるけれど、ドイツの国民性や俺の性格からも、なーんか現実性に欠ける。



「だって・・・」



そう言うマリア、また日本語で喋ったな? とツッコもうとした瞬間、彼女が僕に抱きついてきた。


あまりにも突然の出来事に、困惑と驚愕が俺の頭を支配する。



「愛してるから」



抱きしめているから耳元で、それもささやくように彼女の声が聞こえる。



「照れるだろ、そんなこと言われたら・・・。あと、日本語喋れるんじゃねーか」


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