第8話「本当に面倒くさいのは誤解を解くこと」


インターフォンの音が部屋に鳴り響く。


誰かと思って玄関を開けると、そこには大学の友達がいた。


名前は裕太。天然パーマがなぜか似合う高身長な青年だ。


まぁそれはどうでもよくてだな。



「何の用?」


「大学行くんだろ? 一緒に行かねーか?」


「んな、小学生じゃあるまいし、各自で行けよ」


「そう冷たいこと言うなって」



過去にもこういうことはあったので、いつも通り冷たくあしらっておく。



「Who are you?」(和訳:あんただれ?)


「お、おい愛斗」



あぁ、なんか面倒くさい予感がする。


俺と裕太が玄関で話していると、奥からマリアが顔を見せてしまった。



「愛斗、お前・・・この子怒ってるぞ!?」


「え、あ、はい?」


「Who are you は、ネイティブじゃ使わないと聞いたことがある」


「そうですか」


「なんか相手に失礼らしい。だからこの子、俺に対して敵対心持ってるぞ!?」



なんか、想像したのと斜め上の展開になった。


面倒なことに変わりはないけど。


というか、マリアは別にネイティブ(イングリッシュ)じゃないような・・・。



「んで、この金髪美少女は誰? もしかして彼女?」


「んなわけ・・・」



そう言おうとした瞬間、マリアが俺の背後に瞬間移動して自身の首を激しく上下に振った。



「なるほど、愛斗にこんな可愛い彼女が」


「違うからな!?」


「コラ愛斗、そんなこと彼女さんの前で言うのは可哀想だぞ」



ダメだこいつ、何一つとして状況を理解していない。



「あ、愛斗の彼女さんよろしく」


「Nice to meet you!」



さっきまでの敵対心はどこにいったんでしょうかね。


二人とも余裕で打ち解けてるじゃん。


というか、裕太の誤解をどう解くかなぁ・・・。


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