第1話「言葉の壁」


「よし話をしよう」


「ヤー」


「やー?」


「ヤー!」


「まぁいっか、えっと、君は誰なん?」



俺、こんな金髪美少女の知り合いなんていないからなぁ。


じゃあこの子誰なんだ?


見た感じ、俺と同い年ぐらいか、ちょっと下ぐらい・・・かな?


髪は金色でロングヘア、瞳はブルー。絵にかいたようなヨーロッパ人だけど・・・。



「マリアよ。みんなミアって呼ぶわ」


「日本語喋れるのかよ てめぇぇ」


「やー!」


「やー! じゃねぇーよ おい」



とぼけた顔で言うのでちょっとムカってくるけど、その笑顔が憎めないほど輝かしい。



「アンストゥー・・・」


「え?」


「エスツゥーミィーライツ」


「えーっと、ちょっと何言ってるのか分からないんですけど」



しょんぼりした表情・・・。


言葉が通じないのなら表情を見るしかないのだが・・・。うーん、わからん。


一人暮らしの狭い部屋、その中にある狭いテーブルを挟んで、言葉も通じない相手とどう接すればいいんだ。



「えっと、Where are you from?」(和訳:どっから来たの?)


「ジュラマニー!」


「なるほど、ドイツか・・・え? ドイツ!?」



さっきまでの訳の分からん言葉はドイツ語ということなのか?


いや、そこは問題じゃなくてな・・・。



「えっと、なんで俺の部屋に?」


「ハストゥ ヴァ ゲースン?」


「いや、せめて英語で」


「・・・?」



なんでここで首をかしげる。


さっきまで日本語理解してただろ、まったく。



「えっと、プリーズ スピーク イングリッシュ」


「えー!」


「今のえー! 、めっちゃ日本語発音だったよね? もしかして、日本語 話せるんじゃないの?」


「・・・?」



また首をかしげる金髪美少女さん。


はなしが通じないなぁ。



「愛斗の恋人でしょ? わたしは」


「あっ! やっぱ日本語喋れるんじゃねーか・・・って、ん? はい?」


「ラストイア(ヤ)ー・・・ユートドゥミー」



赤面した顔でそんなことをぶつぶつと言う。


待って、これ俺の英語力が試される系のやつやん。


えっと待てよ? 冷静になれ、落ち着け、クールになれ愛斗。


あ、俺の名前愛斗です。じゃなくて、えっと、ラストイヤーは去年だよな。


と、とーどみー? なんだそれ?


ユーは、あなた、とかのyouだろ?


んで、とーどみー ってなんだ?


と、と、あ! told me か!


えっと、去年、あなたは私に言った。そんな感じでいいのかな?



「えーっと、な、なにを?」


「ハストゥ ヴァ ゲースン」



やっぱわかんねぇや。




ー※ー


なんか後々こんがらがる気しかしないので、ここにメモ代わりに書いておきます。

この設定は、2話以降から(多分)反映されます。


キャラが喋ってるときの文字で、

マリアの場合

カタカナ→ドイツ語 / アルファベット→英語


愛斗の場合

カタカナ or アルファベット→英語

※こいつは基本的に英語か日本語しか喋りません


ちなみにですが、マリアの人物像は完全オリジナルです。

「ドイツ人はこんなんじゃねぇ」

と思っても、そこは創作ということで勘弁してください。

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