第2話 帰り道
校門を出て少しすると、
「ねぇ、お兄ちゃん。お兄ちゃんは今日、新しい友達はできたの?」
未空から話しかけてきた。何かと思えば今日のことか。
「逆に言うが聞くが、できたように見えたか?」
一体誰のせいだと思っているんだ…。俺だって、趣味の合う友達を一人は見つけたかったのに、あれじゃ台無しだ。あぁ、高校でも陰キャを極めそうだな、と思ったその時だ。
「じゃあ、とりあえずクラスライン入ってよ。私のせいだと思うし、それくらいは恩返ししたいなって…。」
俺は驚きを隠せなかった。いつも俺をいじってくる未空が、自分の行動を認めてかつ、俺のことを考えているとは。これまで約15年間一緒に過ごしてきたわけだが、こんなことは初めてだ。
「どうした急に。お前は本物の未空か?」
「う、うるさい!そんなこと言うなら、入れてあげないもん!」
どうやら、本当のことらしい。俺は謝って、素直にグループラインに入れてもらった。それから先、お互い言葉を発さずに家に向かっていった。
約10分ほど歩いて家に着いた。
「ただいま~。」
俺はいつもの癖で言ったが、返事がなかった。その時、思い出したと同時に、
「ぷっ。もしかしてお兄ちゃん、お母さんとお父さんが旅行に行ってるの忘れちゃったのぉ?全く、お兄ちゃんのマザコン・ファザコン・シスコンは昔から直らないねぇ笑。」
そうやって、未空にからかわれた。未空の言うとおりで、両親は旅行に行っている。こないだの宝くじで大当たりしたからだとか。まぁ、仕事も有給を取ったらしいし俺には関係ない。付け加えると、俺はマザコンでもファザコンでもシスコンでもない、ただの陰キャだ。
俺は顔を赤らめながら、手洗いをして部屋に向かっていった。
部屋に着いて、早速未空に誘ってもらったグループラインを確認した。俺のクラスは全員合わせて40人だったのだが、しっかり全員入っていた。どうやら俺が最後のメンバーらしい。挨拶のメッセージだけを送ってスマホの充電をした。すると、急に眠気が襲ってきた。久々に慣れないことであったり、雨のおかげで気温が涼しいのが要因だろう。まだ15時だったから、少し仮眠を取ることにした。
ツンデレでかわいい妹じゃ駄目ですか? 薄氷井蛙 @hakuhyo-seia
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