第4話
第4話
私と彼は永遠だ。
彼が人を辞める時はありえないし、私が人に戻る事もまたありえない。
この永い生を一人で居続ける事など到底出来やしない。
きっと終わる時は一緒に。そう誓ったのはいつの事だったか。
でも彼は永遠であるとはいえ病にかからないとは言っていない。
彼の土地だ、と認知されてる場所を穢せば彼は風邪になる。普通に風邪をひくこともあるが。
まだこの世界に存在していなかったウィルスなどに掛かればひとたび治るまで苦しみ続ける。
だがこれはそれとは関係ない。これは接吻によって出来たものだという。
何故だか凄く、凄く怒りを覚えている。そんな状態の私をいつものように察して色々言い訳をしてくるが、今回に限ってはそんな特技なんて捨ててしまえ。
いや、前から可愛がってた一族の女の子がいつの間にか大人になっててね? なんて彼はふざけた事抜かしてるが言葉にならない感情ばかりで返答できない。
ついでに言えばここまで重症化してるのも恐らくその女とやらが彼の土地で何か粗相を働いたのだろう。
いや、分かっているのだ。恐らくこんな事も一度や二度ではないだろうし、そもそも彼は私の物ではない。独占していいわけもないし。
不可抗力であったのだろう。彼は無防備だから。でもそれとこれとは、とも思う。
いつの間に私は彼を所有物扱いしていたのか、など色々な気持ちが綯い交ぜになり私の頭の中は正常な思考をできない。
彼は治すおまじないがとても下手だ。下手すると悪化するので手に負えない。
ああ、どうしてやろうかその女。私の殺意を感じたからか。彼は、君だけだ君だけが私の片翼なんだ。彼女はどうせ諦めている。私には君がいるのも薄々感じている。どちらにしろ永い生は彼女一人では慰められない。
そんな言葉で全てがどうでも良くなってしまう私は安いのだろうか。いや、そもそも彼にとっては言い訳なんだろう。
私には彼が理解できない。こんな化け物と居るのがそんなにいいのか。
君が人じゃないから、一緒にいたいんだよ。例え人の形をしてたとしても、君だから比翼の鳥でいたいんだ。
仕方ない。今回は私の力を貸さないで苦しむ事を対価として許そう。次は噛んで遊ぶからな、と脅して彼を許すとどことなく苦い表情だが安心した素振りを見せた彼。
さすがにこれはいつもの事では無い。けれどこの事すら過去となり未来ではただの会話の種になるのだ。
我々は永遠である。たとえ彼が何をしようとも、もう片翼がもげた鳥などありえないのだから。
少し不貞腐れて1人でしばらく飛び回ったのは秘密の話である。
もし、もし。 ルナナ @sakyumu
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