友だちだと思ってたもの

お題：バイオ小説新人賞 制限時間：15分

友だちだと思ってたもの

「生物兵器と化学兵器、浴びせられるならどっちがいい？」

「なにそのどちらも救いがない問いは？　普通は空飛ぶとか、瞬間移動とかそういう願いが詰まったものにしない？」

「それは救いがないよ。面白くない。第一に例にあげたのはもう使用されてるよ」

「そうなの？　問題じゃん」

「戦争だからね、しかたないよ。どちらがはやく攻めきるか。それが戦いなの」

「でも、生物兵器って生き物だよね？　耐久性とか攻撃力とか全然弱そうに思えるんだけど？」

「ゲームやったことないの？　クリーチャーだよ、化け物だよ！　強いに決まってるじゃない」

「うーん、でもさゲームでも銃とかバズーカとかロケットランチャーで倒されちゃってるじゃない？　それぐらい武力はどの国も持ってると思うの。だったら、倒されちゃうでしょ？」

「そうだね。でも、大量にゾンビが湧いたり、巨大なカエルの苗床にされたりしたら凄いでしょ」

「いやな例ね。苗床になんてされたくないわ。だいたい、巨大なカエルなんてえっちな動画の見過ぎじゃない？」

「へんな想像するほうがえっちだと思うなぁ。誰も触手で両腕両足を拘束して、異物を挿入するだなんていってないよね」

「今、今言ってるから！」

「だいたいさ、戦争にくるのって男の人がほとんどだし……あっでもカエルにとっては前の穴も後ろの穴も変わらないかもしれない！　もしかしたら口が好きってこともあるかもしれない」

「も、もういいよ。カエルから話題変えよう！？　鳥肌が出てきちゃう」

「じゃぁ、次は化学兵器かな？　そっちは単純だね。目に見えないウィルス。それはインフルエンザのように静かに感染してく。そして化け物に変化する」

「ん、ん？　それって化学兵器が結局生物兵器になるだけだよね？」

「そうだよ。兵士は多いほうがいいじゃない。しかも強ければ強いだけ嬉しい」

「あんたの好みは知らないけど、化学兵器って普通相手国にやる行為だよね？　敵増えちゃわない？　国民すべてが化け物になったら上陸すらできないじゃない」

「その代わりを化け物がしてくれるんだよ。上陸するのは落ち着いてからでいい。落ち着いた頃にはもう兵力をかなり消費してるだろうしね」

「結局どっちを浴びせられても変わらないってことね。なら、両方嫌だと答えるわ」

「もーう、しかたないな。そろそろ薬も効いてくることだろうし、あとは研究所で話そうね」

「な、なにをのませた……ってい、うの」

「ほーら、楽にしていいんだよ。あとはわたしに任せて。あなたの身体の隅々まで味わっちゃうから」

「そ、んなの、きいてな……い」

「ふふ、かわいい寝顔。これがわたしを倒す化け物になるなんて、ふーしぎ」