3000年後
――だから、
「いなかったんだな……」
俺は溜息を吐く。
そうか、大厄災………
それが3000年前に起こった衰退の原因かもしれない。
突然魔物が一斉に人間界へ来るとはまずないだろう。魔界――星魔力制御異界の略――で何かあったのだろうか?
よっぽどのことが無い限り彼等は境を越えて来ない。魔界はここより魔術の水準が高く、こっちに来てもあまり学ぶ事(主に魔術方面)が無いのもその理由の一つにある。
戦争――という訳でもでも無さそうだな。魔界に行くのは非常に難しく、しかも人間にとってほぼ勝ち目がないということが分からない程愚かではないだろう。
「ところでアークスノウ、これから如何するんだ? 行く宛は?」
それを訊くと、途端にアークスノウは固まった。
「………」
「無いのか……?」
アークスノウは目を逸らす。
無いのかよ…… まあ流石に俺の知り合いでも三千年以上生きてるやつはいな―――…いたわ。龍のエンが。
いくら皇帝といえどもリュウに伝手は無いか………いや、ありそうだな…… 皇帝って人脈広いからな……
リュウの知り合いがいても協力してもらえなければ元も子もないがな。
まあ、
「知り合いがいてもいなくても、お前のその目立つ容姿と服をどうにかすれば、多分どこでも生きてける。」
現在。アークスノウの見た目は王族特有の外見、銀髪エネラルドの超目立つ髪色と眼の色 そして服は無い。このまま出たらアークスノウは無駄に外見が良い露出魔になる……ww…だろう。
「ああ、そういえば服を着ないとだね。……どんなのが良いと思う?」
なぜ俺に聞いたのだろうか。
「私服で良いんじゃないか? あれ、黒と青のやつ」
アークスノウがよく着ていた黒と青の服を思い浮かべる。
「あ、
――氷青教。かつてカルティリュット皇国の国教だった宗教である。なんでも、教祖は皇国の幹部に近い者だったらしい。ノリで着せられた制服は、数少ないアークスノウの私服の内の一つになったとか。そんな感じのことをアークスノウから聞いた。
「これかな?」
先程まで無かった筈の服が現れる。
黒と青がメインの学校の制服みたいなのに青に白い刺繍が施されたマントが付いている服だった。
「皇帝だからって一応、特別製らしいよ。俺の眼青に近いけど緑なのになー、って着る度毎回思う服第一位。まあ、それ以外私服無いんだけどね。」
数少ないどころかそれしか無かったとは。もしかして減ったのだろうか?
「よし、服着たみたいだな。さっさとここから出るぞ。」
俺は入ってきた扉に向かって歩いて行く。
「あ、ちょっとまって。
氷多いな…… 氷の神殿、氷青教、氷華刀………氷好きなのか?
……まあ、アークスノウの得意属性が氷だからだろうな。
数分待つと、ようやくアークスノウは帰った来た。
手には氷(に近しい素材)の刀があった。
刀身には三千年前に作られた強い魔剣と比べてもかなりの魔力が宿っている。なるほど、刀身を作る時に紺龍の魔石を練り込んだのか。この刀はかなりの代物だろうな。
しかもこの刀、一定の魔力を注ぐと変形するのか。面白い仕組みだなあ………今度氷以外の属性の作ってみようかな。
「用事は終わったか? じゃあ念の為、気配消して外出るか。」
俺は扉に手を掛けた。
人類最強と云われた俺が2度異世界転生した結果。 蒼之シン @souya938
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