エピローグ
もうじき夜が明ける。僕は目をこすった。
泣きはらした瞼が重たく、水分を失った眼球は乾き瞼を強引に閉じさせようとしているように感じた。
東の空が徐々に焼けていく、朱を帯びて南北へ薄く広がっていく。
頭上の空はまだ紺に染まり、星が降り注ぎそうなくらいに瞬いていた。
太陽はまだ地平線に姿を隠していた。
コンサートの始まりを待つようなじれったさを感じる。
早く出てきてくれ、僕を開放してくれと、心の底から叫びたくなる。
それでも時は流れていく、変わらずゆっくりと、東の空と西の空の勢力図が徐々に対比を変えていく。
ゆっくりとではあるが目に見えて明らかになっている。
僕はカメラを起動させ、夜が明けるその瞬間を待ち構えた。
太陽が完全に姿をあらわした。
空が真っ青に色づいていく。
シャッターを切る、手の中でカメラは小さく震えた。
モニターを確認する。
「ちゃんと見えてるだろ、僕と同じ風景が」
きっと今も僕のそばにいて同じ空を見つめているような気がした。
君の瞳に映る空は、今でもまだ、きっと蒼く映っているに違いない。
fin
君の瞳に映る空は、今でもまだ蒼い 月野夜 @tsukino_yoru
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