第3話
『〇〇くんへ
元気?
あなたがこれを読んでいるという事は、
私はもう、この世にいないよね。
ということは、私があなたに別れを切り出した理由は知らないままだね。
すっきりしないよね?
教えてあげる。
他に好きな人が出来てわけでも、あなたを嫌いになったわけでもない。
あなたが私にとって、魅力的なのは変わらない。
実はね・・・
私は入院することになったの。
不治の病。
おそらく入院したら、もう退院は出来ないみたい。
でも、けじめはつけておきたい。
なので、あなたと別れることにしたの。
もし、直接伝えていたら、その足で病院に行く予定だったの
』
ここで、手紙が終わっていた。
彼女は、こんなにたちの悪い冗談は言わない。
「お母さん」
「何?」
「この手紙、いただいてもいいですか・・・」
「もちろんよ」
お母さんは笑顔で答えてくれた。
外へ出ると、一転日本晴れだった。
晴れ女だった生前の彼女のようだった。
空には、大きな虹がかかっていた。
「あの虹の橋を渡れば、彼女の世界に行けるだろうか」
『まだ、先に話だよ』
「どうして・」
『あなたには、やり残したことがあるでしょ。
あなたという景色をここから見てる。
絶景でないと、許さないからね』
「死んでも厳しいんだね。その点は」
いつか、あの橋を渡る。
その先で、彼女が笑顔で出迎えてくれることを祈ろう。
涙は出なかった。
彼女の晴れ女の力は、侮れなかった・・・
虹 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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