最終話 最後まで笑顔で

私の名前は名前は美幸と言います。

より正確に言えば山菱美幸と言います。

結婚して苗字が変わりました。

今、私は妻として.....山菱達也さんという方を支えています。

私達が結ばれるまで相当に険しい道のりでした。


だけど.....達也さんは乗り越えて来ました。

私も乗り越えてきて.....幸せを手に入れたのです。

それは.....長い時間と。


途方も無い苦労が.....掛かってしまいました。

でも今。

私達はとても幸せに暮らしています。


「.....」


お姉ちゃんが好きだった達也さん。

でもその中で私を好きになってくれました。

本当にその事は.....大変な決断だったと思います。


でも私を愛してくれて.....嬉しかったです。

夜。

胎動を感じながら.....私は日記を記します。


今、私は妊娠しています。

女の子だそうです。

9ヶ月目に入りました。


「.....達也さん.....今日もお仕事遅いですね。.....でも頑張ってくれているんだな」


そう思うと、ふふっ、と笑みが溢れます。

結婚から.....丸4年。

その間にも.....色々な事があったりしました。


でもあっという間ですね。

時間が過ぎるというのは、です。

私も30歳になりそうです。


「.....」


日記は良いですね。

無限に記す事が出来ます。

色々な事を、です。

それは.....例えば何気ない事も、です。

そんな幸せって他にあるでしょうか。


「.....あ。また動いた」


何だか動くのが激しいです。

胎動が激しいかなって。

今日は良くお腹を蹴られます。


だけどそれは元気な証拠ですね。

これ以上に嬉しい事は無いでしょう。

思いつつ私はお腹をさすります。

お父さんがもう直ぐ帰って来るよ、と笑顔で言い聞かせながら、です。

すると胎動が直ぐに治りました。


「.....ふふ。貴方もお父さんが好きなのね」


嬉しくなります。

これまでの道のりで。

私は色々な事を学んでそして。


色々な事を感じてきました。

それはきっとかけがえの無い宝物です。

他に感じる事の出来ない、です。

田中さんの事も全部。


「もうちょっと待っててね。お父さんが帰って来るからね」


言い聞かせながら.....私は日記を記すのを再開します。

今私は薬剤師になりました。

自らの小さな頭脳を生かして、です。

何故かと言えば.....お父さんに多少ですが恩返しする為です。

私達を最後は認めてくれたお父さんを、です。


「.....今はお休み中.....と」


私は薬剤師ですがお休みしています。

妊娠しているから、です。

育休と言います。

それを活用しながら、です。


そんな私達は今、マンションに暮らしています。

あまり高く無いマンションです。

そこは.....お父さんの遺産とかも無縁の場所です。

達也さんが.....必死に頑張ってくれたのです。

それでお金を貯めて.....今に至ります。


「.....」


結婚式は思い出すととても楽しいものでした。

仲間達がみんな集まったから、です。

その写真を見ながら.....私はクスクス笑います。

仁さんが面白かったな、と、です。

とても楽しませてくれました。


「仁さんも結婚して.....お姉ちゃんはお医者さん。運命って不思議ですね」


そういえば私は昔の口調に戻ってしまいました。

結局こっちの方がしっくりくるから、です。

達也さんも、お前らしい方向でやったら良い、と仰っていました。

私はその意見を尊重し今の口調に戻ったのです。

達也さんも迎えてくれました。


「.....」


お姉ちゃんは時折、仕事の合間に会いに来てくれます。

とても忙しい中だと思いますが、です。

そしてお姉ちゃんは私のお腹をさすって.....それから耳を当ててくれます。


このお姉ちゃんの行動に.....泣きそうになった事もしばしば、です。

ただ嬉しくて、です。

こうして分かち合える事が、です。


『達也の子供か。嬉しいな。私はお姉さんだね』


お姉ちゃんは相変わらずです。

エロは封印したみたいですが相変わらず顔が、って思います。

でもそれが自慢の姉だと私は周りに言いたいです。

私は自慢の姉に恵まれて家族に囲まれて。

何と幸せものでしょうか。


「ふふ。またお姉ちゃんに会えるのが楽しみだな」


思いながら認めていきます。

そういえば城島の件ですが彼はアルコール依存になり孤独死していました。

城島も人間です。

可哀想な気持ちにも達也さんの影響でなりますが.....でも自業自得だとも思えます。


それから長島ですが此方は完全に身を潜めて関わらない事を決めた様です。

私はそれならそれで良かったと思っています。

ミーシャさんとユールさんがまだ監視をしているみたいですが、です。


そういえば美鶴さんにお祝いを貰いました。

嬉しかったです。

美鶴さんのカラオケ屋は今は大盛り上がりの様で嬉しいです。

店員を私が辞めてしまった今でも度々手伝いに向かってます。

今は妊娠中で手伝えないのでその分を生島さんらがカバーしてくれています。


因みに生駒さんと夢有さんは婚約した様です。

今はアメリカにて幸せに暮らしている様ですね。

私は嬉しく思いながら絵葉書を受け取ってます。

妊娠中みたいでした。


「ふう。疲れましたね」


またお腹が動きました。

私は嬉しく思いながらそのまま立ち上がりました。

因みにこのお部屋はお腹の子のお部屋になる予定です。

その意味でこの場所で書いていました。

日記を、です。


いつか産まれたら。

私は全てを話す予定です。

どんな青春時代だったかをありのままに、です。


すると.....玄関のドアが開いた音がしました。

愛しいあの人が帰って来ましたね。

思いながら玄関にその一文章を書いて行きました。


「ただいま。美幸」


「お帰りなさい。あなた」


私は笑顔で愛しいその人を見ます。

お腹をさすってきました。

私は笑顔でその人を見ます。


一文章にはこう綴ってます。

今の関係を保ちながら幸せに生きたい。

私は笑顔で居るんだ、と刻みました。


貰った笑顔を絶やさない様にして。

達也さんと一生を歩みます。


fin

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真面目な幼馴染が交通事故に遭い変態な事になりました。割と真面目に助けて下さい.....。(※一応完結しました) アキノリ@pokkey11.1 @tanakasaburou

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