第30話 中ボス戦
「よっ、お兄ちゃんのいいとこ見てみたい――――って言ったのになぁ~。」
「分かってるよ。やり損ねた上に巨大化されて噛ませ犬感バリバリだってな。」
「相手が犬だけに~~~(笑)」
ディアナの煽りを受けて鬼から人の姿に戻ったカズマが歯ぎしりをする。
グルルルルルルルルルルルルルル。
巨大化したブラックドックはまるで逃がさないと言わんばかりに出口の前に立ちふさがっており、避難組を脱出させるにはこいつを倒さないとダメなのが簡単に分かるものだ。
さてそれをだれがやるかと言うと――――
「お兄ちゃん。手を貸そうか?」
「やりますよ。1人でやってやりますよ。」
とまぁ意地を張るカズマだった。
そこにブラックドックは大きな前足の爪を振り下ろしてきた。
カズマは横っ飛びでそれを躱しながらワルサーで反撃を試みる。
パン!パン!パン!
しかしそれは効果が薄く。
「はははははは。まるでハトが豆鉄砲を食らったような顔されてるぞ。」
「うるせぇ。そんな顔してねえだろうが。とても凶暴な顔をされてますよ。」
「さぁ、お兄ちゃんはここからどう戦うのか。見ものですね。そう思いません?」
「え?ハ、ハイ。」
「ところでお嬢ちゃんのお名前は?」
「ひなです。」
「ひなちゃんか、よ~うしお姉ちゃんと一緒にお兄ちゃんの応援をしよう。せ~の――――」
「「お兄ちゃんがんばれ~~~~~~~~~~!」」
カズマはイラッと来ていた。
カズマが必死に戦っている後ろでディアナは脱出組にいた小さい女の子とまるでヒーローショーでも見るかのように応援を投げかけて来たからだ。
『いやなに、応援されるのは別に嫌じゃないけども。も~ちょっとなんか、こう、緊迫感て物はないんだろうか。』
そう思うとやるせない感じがするカズマだった。
とかなんとかしてたらブラックドックがカズマを丸かじりにしようと迫ってきた。
「はん、デカくなった分動きが鈍重になってるぜ。」
カズマは素早くブラックドックの足元を抜け、背中側に回ると鬼の力でブラックドックの背中をけたぐり回す。
しかし、
「ぐぅ、硬ぇ。」
ブラックドックは大きくなって鈍重になったものの、その皮膚は今まで以上に固く分厚いものになっていた。
その為、今まで一撃で倒してきた攻撃でもまともなダメージが通らなくなってしまっているのである。
「鬼の力じゃここいらが限界か。仕方ねぇか、この手は人前ではあんま使いたくはねえんだがな。」
カズマが切り札を使うことを決意したとき――――
ディアブル・ド・ラプラス 軽井 空気 @airiiolove
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