クローンズ

@dog-p

What is your name ?①

古いマントで砂埃を防いでいる女の煌びやかなイヤリングと鋭く澄んだ目は

その汚らしい格好にそぐわないためか異様な雰囲気を醸し出しており

街ゆく人は話しかけようともしなかった

そのためその女の名前は誰も知らない


***


「2年経ったんだ 俺は強い」

砂塵のまう街の宿でレンは独り言を言った。

言葉に反して部屋の毛布にくるまり震えて怖がっている様子はまだ

弱冠15歳の少年を感じさせた。

夕食前までは久しぶりの一人旅で舞い上がっていたレンだが宿の女将に

”クローンの目”という者がこの街まで迫ってきているという噂を

聞いたため怖がって部屋に隠れてしまったのだった。女将はその後さくらんぼのゼリーを持ってきてくれたのにまだ手をつけていなかった。

『食ってる時にそいつが入ってきたら喰われる・・・!』


そんなことを考えていたが、

夏で蒸し暑いが砂埃が舞うこのあたりは窓を開けて眠ることは許さないと

女将にきつく言はれていたがまだ寝てないからという理由でレンは窓を開けた。

”クローンの目”ということは自分と同じで中央区のベルンに向かうはずだ。

だから旅の友になれるのではないかと思い自分の部屋に入り込んできたら

楽しそうだと考え始めていた。

『コヨーテだろうか?ハジか?ミカか?はたまた俺の知らない可愛い同期か?』

と中学生のきもい妄想をし始めたレンは我に帰りやすくするため自分のきもい顔を映しにトイレに行こうとした時だった。

レンのきもい予想は当たった。音を縦長ら砂にまみれた古いマントをきた者が3階のレンの部屋に飛び込んできた。レンはこの者が女であるとわかった瞬間

「あんた誰だ」

声変わりは遥か前に終わっていたがこれまで出したことがないほどの

裏がえった声で聞いた

「すいません、道に迷ってしまって泊めてくださる?」

その女はマントをとって言った。

「ふぁい」

レンはその女の顔に見惚れながら答えた。

疲れていたのかすぐに倒れこんでしまいレンはベットを譲った

『男子の前でけしからんけしからん』

と思ったが勇気のないレンはソファの上で

女将からもらったさくらんぼのゼリーを食べた。おいしかった。

***

次の朝アヒルのアラームで目を覚ましたレンはその女がベットで寝ていることを確認したことで昨夜のことが夢でないことを実感した

何度か女を揺すって起こすと

「うるさいな執事が」

と女は答えると

「執事?」

レンは答えた。レンはこの女がどこかの没落した家の子ではないかと思った。

「朝飯食いに行くか?」

レンは言うと女は

「お金持ってないけど……」

といい申し訳なさそうな顔をした

「いいよおごるよそいくらい」

女は目を輝かせながら

「ありがとう」

と答えた


道を歩きながらレンは女の話を聞いていた

「私の名前はエヴァ あなたは?」

「俺はレン。 エヴァさんもベルンを目指してるの?」

レンは答えた

「ええ中央区に家があって世の中見渡してみたかったの」

エヴァは言った。

「どうだったこの世は?」

レンは少し馬鹿にしながら尋ねた

「うーんまあ1年しかなかったから中央区と西区しか見れなかったけど

 問題は多いよねー」

エヴァは淡々と答えた

「たった一年で中央区と西区を!徒歩でですよ?イギリス県からエジプトとかも。すげえ。」

驚くレンに対してエヴァは続けた

「クローンに対しての差別とかは多いよね、特に農夫とかは処遇が不遇だし。 特に田舎な地域ではいまだにクローンへの差別がひどい、

マンチェスターでは2年前ぐらいから改善されたって聞いたけど」

エヴァは語った。

「つきましたよ 店に」

レンはまだ喋りたそうにしているエヴァを遮った。

「店で続きは聞きますから」

不満そうにしているエヴァを見てレンは付け加えた。

レンは給仕にミルクとサンドイッチをエヴァはコーヒーとクッキーを頼んだ

「そういえばレンくんは憲兵候補生なのかい?」

エヴァは聞いた

「なんでそのように?話かわったし」

レンは聞き返した

「まずクローンの目を持っている。それに中央区に向かっているじゃない。この時期は15歳の憲兵候補生達の強さを調べるって言う名目の大乱闘が見られるからね。その上君刀持ち歩いてるもの。絶対憲兵候補生でしょ。

それと君の名前は聞いたことあるよ憲兵ご…」

「やめてください」レンはエヴァの口を塞がせた

「確かに俺は憲兵候補生ですよ」レンは答えた

「それはよかった。」


レンがご飯を食べ終わったのを確認して

「じゃあ店でよっか」

店を出てもまだエヴァは話をつつげた

「いやー憲兵候補生ってことはこの世の治安を守ってもらいたいねー」

憲兵というのは街特に都市の警護また事件の捜査にあたる警察のような職業である。

「まだ俺憲兵じゃないですから」

レンは答えたがエヴァは

「そういう心持ちでいないとなれないでしょ『僕がなるんだ』ていう心意気?みたいなさ」

「確かにな……うんそうだな。ありがとう」

レンは答えた

「それじゃ向かいましょか中央区へ!」

「ああ」

レンは答えた。二人は歩き始めた。

***

二人が出会って二日がたち共に二人は仲良くは

なっていなかった

「あんたどこにきてんのよ!この方向音痴!」

エヴァは頭を下げ憂鬱そうだったがエヴァの罵声に苛つきながらレンは答えた

「言ったろ中央区には遠回りだけど寄りたい街があるってさほらついたぜ」

「情報の街 チューリッヒ!中央区第4の都市さ!」

レンが言うと同時にエヴァは顔を上げた。大きいビルや大規模の商店が目に入り。少し遠くからは美味しそうなご飯の匂いそして活気ある街の喧騒は歩き疲れたレンとエヴァの心を少し潤わせた。

それから二人は少し人気のない路地に入っていった

「まじどこ連れて行くつもりなの?」

エヴァは聞いた

レンは黙って前に進んだが何も教えてもらえないエヴァには不安な気持ちが募っていった。

歩くこと30分ほどして二人は風情のある、レトロな店の前についた。カランコロンと音を立てながら二人は店に入ると、店の壁一面に貼られた古新聞が目に入ってきた。

「ねえここどこなのよ」

エヴァは五回ほど同じ質問をした

「情報屋」

少しイライラしながらレンは答えた

「なんで怒ってんのよ短気〜」

エヴァはレンを馬鹿にしながら聞いたが

「なんで酔ってんすか?」というツッコミをされて一歩たじろいた

「ここはこの世界の古本が置いてるんすよ」

レンは仰ぎながら答えた。少し興奮気味のレンの顔を見てエヴァはまた一歩下がった。

「やあレン坊」

店の奥から背丈の低いお爺さんが出てきた初めてそのお爺さんを見たエヴァですらそのお爺さんがこの情報屋の主人であることを感じるほど店と調和が取れていた。

「旦那いってた本取っといてくれたか?

『クローン史記』と『アカルネの真実』」

レンは元気に聞いた。がしかし店の主人からは全く元気のない返事が返ってきた

「すまんのレン坊『アカルネの真実』は残ってるのじゃが……『クローン史記』を盗まれてしまっての」

「えっ!」

あまりの驚きにレビウはとても高い声がでた。

「誰が盗んだんだよ!」

「……この若者たちじゃ」

そういう店主は2枚の写真をレンに渡した。

一人は顎の出張った男でもう一人は端正な顔をした18にも満たなそうで白髪とアホ毛の目立つ青年だった。

「こいつらが…盗みを!」

怒りでレンはギリギリと歯軋りをした。

「なあ旦那こいつらぶっ倒して『クローン史記』を取り返せたら俺もらっていいかい?」

レンの質問に対して旦那の答えは暗かった。

「いいが……殺されるなよ奴らめっぽう強くてここ最近有名なギャングなんだ。

なんて言ったかなそうだ“seconds”っていう奴らでよ気をつけろよ」

「大丈夫だよ旦那俺はクローンだ」

レンは笑って答えながら『アカルネの真実』をもらってエヴァを連れて店を出た。

「この近くにいるはずだ」

と言いながら旦那は見送った。

店を出て数分たつとエヴァはこれまで黙ってた分喋り始めた。

「このチューリッヒって街治安最悪じゃないていうかこんな強奪事件憲兵に言いにいったらそっこーで終わるんじゃないの?」

「チューリッヒは自由情報の街で自衛組織がいるそいつらが憲兵の保護を断っているだからそれは無理だ」

レンは急足になりながら早口で答えた。

「それとあんた『アカルネの真実』ってやっぱり……」

と言いかけて二日前レンに遮られたことを思い出してやめた

「あとさなんで『クローン史記』を探してるの?」

エヴァはまだ聞いた

レンはエヴァの目を見て何かを伺ってる様子だったが徐に答え出した

「俺は人間になりたい生物学的な意味でも『クローン史記』にはその答えが載ってるかもしれないだろ」

エヴァは驚いたが

「でもこう言うのは変だけどあんたクローンには見えないわよ

特にその自由に何かを求める感じとか」

と言った。

「ありがとう」

レンは思いがけないことを言われて驚きながら答えた。

「あとあんた次はどこに向かってんの?」

エヴァは尋ねた

「この辺のバカがよく集まる空き地があるんだそこへ」

レンは答えた。

少し走ったところにその場所はあった。

どこからどう見ても悪そうな若者がいたがレンは臆することなく

「行こうか!」

と言って前に歩み出た





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

クローンズ @dog-p

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ