電車での遭遇

バブみ道日丿宮組

お題:漆黒の闇に包まれしお尻 制限時間:15分

電車での遭遇

 日頃からお尻に眼を向けてるせいか、姿勢が悪くなった。

 もっともいいものが見れてるのだからそのくらい気にせずにいるべきかもしれない。

「……」

 電車通学もご褒美タイムがあればやっていける。学校じゃ蚊帳の外で誰とも交流がない。友だちらしい友だちは他の学校に行ってしまったし、知り合いという知り合いは学校にいない。

 もし仮に彼女でもいれば……話は変わってきたのだろうが、幼稚園にそれらしいのがいてそれっきりだ。人間にはモテ期があるらしいが……ほんとのことだろうか?

 社会人になってからモテても周りは年上ばかりで年下はいない。

 僕は小さな子がタイプなんだ。それは同性だろうと変わらない。男の子には興味がわかない。

 いつだって女の子に惹かれる。いや、姿形がね?

「ねぇねぇそんなに見るのが好きなの?」

「……好き」

 集中してたせいで、口から言葉がもれた。

 視線の先にいるのは、同じ制服を着た女学生。

 笑った彼女はこちらを値踏みするかのように見つめてくる。

「毎日あたしのこと見てるよね?」

「……そんなことはないと思います」

 あります。

「熱烈なアプローチは嫌いじゃないけど、もう少し控えたほうがいいよ」

 駅につくと、隣席があいた。

 そこに静かに彼女は腰を下ろした。

「同じ学校だし、同性なんだから声かけてくれればよかったのに」

「……天涯孤独でして」

 久々の会話だからだろうか、ろれつがうまくまわらない。

「おばあちゃんみたいなこというんだね。で、お尻が好きなの?」

「……はい。あなたみたいな小柄なのがタイプです」

 そうと、彼女はぽりぽりと頬をかく。

「あたしさ、こんな見た目だから避けられてるんだよね」

 銀髪の、赤目、ロリ体型。一般的に吸血鬼といわれるタイプ。人と相容れぬものとして、厄介者として扱われることが多い。逆に金髪の、青目、ボイン体型は優等生と扱われる。

「……私は好きですが」

「そう? こんな幼児体型でも?」

 はいと僕は頷いた。

 彼女は嬉しそうに笑い、

「あたしたち友だちになれると思うんだ」

 手を差し出した。

「……性的に見てた相手とですか?」

「出会いなんて人それぞれでしょ」


 僕はそうして、唯一無二の親友たる彼女を手に入れた。

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電車での遭遇 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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