第2話
わたしの叔父はギャンブルによる借金まみれで、泥酔しながら女房や娘を殴るような
「過去ってのは借金取りのようなもんだ。覚えちゃいないのに、追って来ていきなり目の前にあらわれる」
ここで自害した武将の妻は、摂政期前半の混乱のキッカケであるナルベコフ家出身の娘でした。名前は最初カレーシアでしたが、嫁ぎ先でカリンと改名します。
彼女が嫁いだ先は、イルハムの息子で九條家に養子の出されていた
お家のためにと自害を進めるものもいましたが、カリンは
「父への孝行もありますが、夫のいうことも聞かずそういうことをするのは、妻の道をたがえてしまうことになります」
と、忠利への愛をつらぬきます。
やがてカンタールに許されて、忠利のもとに帰った彼女は、つらい暮らしが待っていました。九條家と交流があった共和国の外交官は、こういう記述を残しています。
「忠利どのの妻に対する過度の
こんなエピソードがあります。
たまたま九條家の庭を整えているときに、カリンを見かけた庭師がいました。それを見た忠利はいきなり庭師の首をカタナで切り捨ててしまいました。そしてその首をカリンの前に置きましたが、カリンは動じません。たまりかねた忠利は
「おまえは蛇なのか!?」
と、怒鳴りますが、カリンは
「鬼の妻には蛇がお似合いでしょう」
と、返しました。
やがて、天京院のもとに従軍していた忠利は
「もし、敵に攻められて追いつめられたときに、生きて辱しめをうけてはならぬ、よいな」
と、カリンと部下たちに言い含めていました。
その後に起こったことは、本編で記述した通りです。
すべてが終わったのち、忠利はカレンの墓所を造り、毎日そこに手を合わせるのが習慣になったそうです。
SFC誌1月20日:画家ウーイ・ソー氏の作品『記憶の彼方』発見か?
1月19日、戦争の混乱で帝都美術館から紛失していたウーイ・ソー氏の絵画『記憶の彼方』が発見された。帝都美術館の調査員も真作であるとしている。
発見したドロシア・ラディスローさんによると、実家を整理していたところみつけたという。
『記憶の彼方』はソー氏が愛妻の死のショックから描いた絵画で、ソー氏の死後、帝都美術館に寄贈されたが、シチェファンの反乱のドサクサで紛失していた。
ニューラグーン北西にオルドと呼ばれる地域がある。
名前の由来は、皇国での争いに敗れたカン・ヨンという武将が、この地に逃れたことから『野営地』という意味にオルドと名付けられたのである。
カン・ヨンは現地を治めていた領主をパーニーパトの戦いで破り、新たな領主となった。
その息子サービル・キラーンは皇国と同盟を結び勢力を伸ばしたが、かれの死後、オルドは皇国の属領となって、今にいたる。
少年が1人トホトホ歩いている。心配してわたしは声をかけた。
「どうかしたのかい?」
少年が振り返ると、どこかで見た気がするが思い出せない。
気がつくと、少年は何処かに消えていた。
その昔、ある領主が荒淫にふけり、佞臣たちを侍らせていた。忠臣のマルヤマという者がいさめたが、それを恨んだ領主と奸臣たちは、奸計をめぐらせた。
あるとき、領主の愛用していた鉄扇が井戸に落ちたので拾うようにと、マルヤマに命じた。かれが井戸の中に入ると、上から大石を投げ入れた。マルヤマは怨を呑んで井戸の中で鬼となったという。この井戸は『闇の中の井戸』と呼ばれた。
スプリット・イメージ 今村広樹 @yono
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