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今村広樹

第1話

 その小型飛行機の尾翼は、まるで墓標のようだった。

「やあ、お疲れ様です」

「いえいえ、こちらこそ大変なところへよこそですにゃ」

 事故調査員に地元の猫が事故現場に案内している。

「どうやら、1人で乗ってた飛行機が山中で頭から地面に激突したみたいですにゃ」

「わざわざこんなことに堕ちなくてもなあ」

 事故現場はニューラグーン地方にあるトレイスルート連峰。国境地帯で、かついま案内している猫のような少数種族も住んでいたため、センシティブなところであった。

 乗っていたナニモノかの遺品を眺めていた事故調査員は、あるものを見つけた。

「これは?」

「本や新聞の切り抜きや、メモを集めた

スクラップブックみたいですにゃ」

「ふうん」

 手がかりがあるかもしれない。かれらは、そほスクラップブックをパラパラ読み始める。

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