日常で浮かぶもの

バブみ道日丿宮組

お題:無意識の小説トレーニング 制限時間:15分

日常で浮かぶもの

 日常的に思考することは老化防止にもなる。

 いいアイディア、いい構想、いい妄想。

 思考力は様々な用途に使うことができるだろう。

 もっとも一番使いたい小説という枠組みに利用することには現状失敗してる。

 なぜなら、面白いと思ったのは頭の中だけで実物が出来上がってくるとまるで違うものが出来上がってしまうからだ。

 例をあげるならば、桃太郎だったものが数学の教科書に変わってしまったというぐらいな変化だ。無論数学を愛するものであれば、それは劣化でなく再現化の向上ともいえるのかもしれない。

「面白くなさそうなもの書いてるわね」

「書いてる本人が面白くないからね」

 声に頭を上げてみれば、いつのまにか前の席に彼女が座ってた。

「学校じゃなくて家で書けばいいのに」

「アイディアがなくなりそうだったからさ」

「でも、面白くないのができたんでしょ?」

「わかる?」

「つまらなそうな顔をしてるんだから、つまらないでしょうね」

 顔に出るぐらいつまらないものか。

 まぁ……物語を書いてるつもりが、ただの感想文だ。よくて、そのテーマにあう材料。

「はやく帰りましょ」

 立ち上がり、僕に手を差し伸ばす。

「帰って気持ちのいいことをすれば、リフレッシュできる」

「それってそっちがただやりたいだけなんじゃないの?」

「そういう言い方はひどいと思うの。まるでわたしがビッチみたいな言い方はないわ」

 誘うということはそういうことではないのだろうか? という疑問をしまい込み、

「そろそろネタも止まり始めたから、帰ってもいいかな」

「なら、行きましょ。今日新しいコスが届くはずなの」

 だから、帰りたかったのか。

 しかし、新しいコスプレか。これは新しい妄想が生まれるかもしれない。

「ちなみにどんなコスプレを買ったの?」

「秘密。ついてからのお楽しみよ」

 ちなみにすでに郵送済みよと彼女はスマホを見せてくる。

「相変わらず僕の家なんだね」

「そりゃそうでしょ。わたしの家にそんなものが届いたら家族会議だもの。それに一人暮らししてるほうに送れば、いろいろと都合がいいでしょう?」

 都合がいいのは彼女で、僕は彼女のコスプレや、下着諸々をしまう必要があって……。

「不満?」

「別にそうはいってない。じゃぁ帰ろうか」

 ノートとシャーペンをカバンにしまうと席を立った。

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日常で浮かぶもの バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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