戦争ネット
バブみ道日丿宮組
お題:走るむきだし 制限時間:15分
戦争ネット
「あ、あぁ、あっ、あぁ……マイクテスト、マイクテスト」
世界に繋がったろうか。あるいは地獄だろうか。
「こんにちわ、世界の皆さん。平和にお過ごしでしょうか」
爆発音が耳に入る。銃声も聞こえる。不気味な声も。
「昨今流行りのライブ中継という形で現地にきてみました」
現地、それは戦地。そして日常。
「これを見れてる人がそもそもいなそうではありますが、続けたいと思います」
配信を見た兵士がここにくるのも時間の問題。
「中止になる前にスイッチはきらしてもらいますので安心してください」
世界に自分の乱れた姿を流すわけにはいかない。
もっとも友だちであった存在は公開処刑のように毎日ネットで晒されてる。あれでもない、これでもないと、穴という穴全てが犯されてる。助けたいと思ってもその場所はわからないし、おそらく強固な守りで支配されてるだろう。
「性欲本能というのはおそろしいもので今はそれだけで戦争が起こってます」
キレイな人、可愛い人、清楚な人。
いずれもみな女ということで男たちが食べる。
優しい人、大人しい人、ヤンキーな人、いろいろな男がいた。
それらも……、
「不思議ですよね。戦争してるときは意識があるのに、女を見つけると欲望が突き抜けるっていう。だからこそ、みんな隠れてますね」
人がいない奥地やら、地下施設で女は生きてる。
それらが見つかった後は酷いもので、白い液体が残されるだけで連れ去られてしまう。彼女たちが戻ってくることはなく、どうなったかさえも私たちは知らない。
「戦争で男たちが次々に死んでくのに私たちは依然として恐怖の中にいます。不思議ですよね。世界の半分ぐらいの男はいないはずなのに私たちは負けてます」
反乱分子というのは当然ある。奪還作戦だって何回もやってる。けれど、どれもが解散してる。ゾンビのような男の塊を防ぐことはできない。捕まえられなかったのが救いであって、捕まってしまえば最後。
「このまま男が滅んでしまえばいいのにと思うことでしょう。けれど、それはありえないのです」
戦争は相手がいるからこそ起こる。国家間のものはどちらかが滅べば、多少のいざこざはなくなる。
同人同士の戦いは単純な殴りあいで解決されるだろう。どうせならそのまま撃たれて死んでしまえとも思うだろう。
「おっと、音が近づいてきたので離れますね。また放送できることを祈ってください」
機材を取り外し、耳を済ませる。
まだここで欲に落ちるわけにはいかない。
そうして、私は静かにその場を後にした。
戦争ネット バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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