第35話 J.C.ポゼッション!(1)
母とアキコさんという女性が、俺のもとへ迫りくるモンスターを防いでいたことなど全く知らない俺。
父ユウヤと母の関係など、今の今まで聞いたことがないというか、そんなアキコさんの回想シーンなど、俺に届くわけはあるはずもなく……
そんなシリアスな状況となっていることとはつゆ知らず……
俺は悩んでいた。
四人の裸の女の子の前で、フルちんで身もだえながら俺は悩んでいた。
うん! 俺は、悩んでいたのだ!
うん? 先ほどの木陰から聞こえた声の主の事かって?
まぁ、そんな声はどうでもいいんだよ!
というか、それよりもこっちだ。
さすがに4人のお嬢様方をこのまま裸というわけにはいかないだろ。
だって、俺、お目付け役だし……
逮捕されたくないし……
仕方ない。あれをやるか……
俺は、朱雀、白虎、青龍、玄武に目配せした。
四匹の魔獣は、さも、準備ができているといわんばかりにうなずいた。
「J.C.ポゼッション!」
俺は大声を上げた。
今の俺たちは15歳。
騎士養成学校の中等部だ。
だからといって、J.C.と言っても女子中学生じゃないぞ。
決して『女子中学生所有』などという、犯罪臭のする言葉では断じてないぞ!
いくら俺がフルチンの仁王立ちであったとしても、目の前の女の子たちをお部屋にお持ち帰りなどと言うことはできない。
というか、したくない!
男と女のやることをいたすれば……当然、彼女たちの口から出てくる言葉。
「責任……取ってね……」
今回に限って言えば、この言葉を額面通り受け取ってはいけない。
なにせ、この女たちは普通ではないのだ。
こんなアホどもの責任を取ろうものなら、その後の俺の人生はハードモードどころか完全にツミである……
若干15歳にして俺の人生は、ハチャメチャ&真っ暗な奴隷生活へと転落することは間違いない。
今は、そんな話ではない、少し冷静になろう……
そう、これは『獣魔コスチューム憑依』の略なのだ!
そこ‼ くれぐれも勘違いしないように!
その声とともに、四匹の魔獣の体が光輝いた。
朱雀は赤く
白虎は白く
青龍は青く
玄武は緑色に
四色の光は渦巻くように上空に浮かび上がった。
そして、天高く上るとパンと弾ける。
四人の【チョコットクルクルクルセイダーズ】めがけて一直線に落ちてきた。
光が四人の女の子を包み込む。
「あぁぁぁぁん! 気持ちいいぃぃぃぃぃぃ!」
光の中で、女の子たちは、その快楽に身を任せるかのように背中を反った。
ピンと伸びきった細い指。
光の粒子が巻き付いて、白いグローブへと姿を変えた。
四人をつつむ光が徐々にと消えていく。
輝きを失った空間には、颯爽と立ち並ぶ女の子たちの姿。
その四人の頭には輝くティアラが、それぞれ異なる四色の光り放っていた。
アリエーヌは赤き朱雀を模したティアラ
グラマディは白き白虎を模したティアラ
キャンディは青き青龍を模したティアラ
グラスは緑の玄武を模したティアラ
そして、今、四人の体をセパレートのコスチュームがレオタードのようにぴっちりと包み込んでいた。
それぞれにとりついた獣魔を表すかのように、それぞれのカラーのラインがコスチュームに華を添える。
ノースリーブで肩を露出した腕の先には肘まである白いグローブが、一層、指の細さを際立たせる。
露出されたおなかに覗くおへそが、さらに可愛いさを2割増し!
腰に巻かれるミニスカートの内部にはフリル状のアンダースコート。
やっぱりこういったコスチュームならミニですよね! ミニ!
そこから伸びる細い足にブーツがピタリと収まり絶対領域を際立たせる。
先ほど天使とともに昇天した俺の下半身が、まるで、早押しボタンを押すとピコんと跳ね上がる◎印のように反応した。
その速度、0.2秒!
まさに神速!
俺は、早押しクイズ会のチャンピオンになるんだぁ!
天を見上げるとともに突き上げる拳!
俺ってかっこいい!
そんな俺を見つめる四人の女の子の顔がみるみると赤くなる。
「きゃぁ! 変態がおるのじゃ!」
「俺は、硬い奴が好きなんだぁぁぁぁ!」
「ただのバナナはいやや! チョコレートはないんかい! チョコレートは!」
「2046752……」
俺は、腰に手をやり仁王立ち。
そして鼻で笑う。
フン!
「愚か者どもが! そんな些細なことを気にしている場合ではない!」
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