第12話 超進化!(1)
「マジュインジャーゴー!」
叫ぶ俺に魔王ドゥームズデイエヴァの触手がまっすぐに伸びる。
まるで、突き出される槍のごとく。
無数の触手が俺を貫かんと伸びてくる。
だが次の瞬間! 触手が向きを変えた!
俺の影から飛び出したヒヨコの小さき蹴りが、触手を蹴上げる!
白き子猫がくりだす猫パンチが触手をペチコンと叩き落す!
青きアオダイショウが、触手に絡みつくと、その動きを止めた。
そして、まっすぐに伸び来る最後の一本を、ミドリガメの小さき甲羅が跳ね返す!
俺の前に、颯爽とならぶ魔獣たち
レッドのヒヨコ!
ホワイトの子猫!
ブルーのアオダイショウ!
グリーンのミドリガメ!
そして、最後に、俺の懐から、ピンクのスライムがもたもたと降りてきて、その列に並んだ。
紅一点! ピンクスライム!
5匹と一人!
我らは魔獣!
魔獣戦隊マジュインジャー!
どーーーーーーん!
えっ、この件はもういいって?
そんなぁ、気に入っていたのに……
というか、なんでヒヨコ?
なんで子猫?
まぁ、慌てなさんな。
ここからが俺の真骨頂!
お見せしよう、俺の真のスキル
俺は自分の腕をナイフで切り裂いた。
ドバっとあふれ出す大量の血液。
その腕をそのままに振りぬいた。
赤き血潮が、弧を描くように飛んでいく。
そして、俺の前に並ぶ5人の戦士にぴしゃりとかかった。
俺は満を持したかのように叫ぶ!
「マジュインジャー超進化!」
5人の体が泡に包まれる。
みるみると溶け落ちるヒヨコたち。
そして、その泡がむくむくと大きくなっていく。
次の瞬間、泡がはじけ飛んだ。
ぶるぶると身震いをする四匹の魔獣。
そこには朱雀、白虎、青龍、玄武の姿があった。
俺はすかさず命令する。
朱雀はアリエーヌ、白虎はグラマディ、青龍はキャンディ、玄武はグラスの援護に着け!」
逆さづりにされるアリエーヌは必死でスカートを押さえていた。
そんなアリエーヌをいたぶるかのように、触手は今度はブラウスのボタンをはずし始めた。
なんちゅう器用な触手なんや……
ボタンが一つ、また、一つ外れていく。
それとともに、アリエーヌのおへそが見えてくる。
すでにスカートを押さえつけるだけで精一杯のアリエーヌ。
ブラウスを押さえるまで余力がなかった。
万事休すか!
アリエーヌは観念した。
ワラワの貞操が……こんな奴に……
そんなときである。
アリエーヌをつるし上げていた触手が紫色の液体を噴き出した。
加速する朱雀の羽が、空気を切り裂くと同時、触手をも切り落とした。
地面へと落下するアリエーヌ。
勢いよく反転した朱雀が、アリエーヌを拾い上げた。
だが、アリエーヌの服はびりびりに破れていた。
というのも、朱雀の音速の攻撃は、触手だけでなく、アリエーヌの服までも切り裂いていたのである。
「コラァァ! 何しとるんじゃワレェ!」
森の中で逆さづりにされるグラマディは、いまだに触手によって鞭うたれ続けていた。
うぐっ!
――こんなところで俺は、音を上げるものか!
触手がしなるたびにグラマディは歯を食いしばった。
うっ!
――俺はボインジェンヌ家の女戦士! こんなところで負けてたまるかぁ!
触手が打ち付けるたびに、体が痙攣する!
だが、悲鳴は上げない。
体の自由を奪われたグラマディは、必死に耐え続けた。
そんなグラマディに業を煮やしたのか、無数の触手が一斉に引き絞られた。
もう、一本一本ではらちが明かない。
ならば、一斉に打ち付けるまで。
これで砕けろ! と言わんばかりにグラマディを取り囲む触手が同時にしなったのだ。
その様子を見るグラマディの目は大きく見開かれた。
――あんな数の触手が一斉に打ち込まれたら、私は耐えられない……
万事休すか!
グラマディはあきらめるかのように目をつぶり、その衝撃に身を任せようとした。
だが、一向にその衝撃はやってこない。
――これは、まさか? じらし攻撃?
グラマディは、いらだつ目をとっさにあけた。
そこには、無数の触手をかみちぎる白虎の姿があった。
「コラァァ! 何しとるんじゃワレェ!」
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