食卓の日
バブみ道日丿宮組
お題:どこかの食卓 制限時間:15分
食卓の日
ある日のこと。
「今日もカレー?」
幼馴染が不満そうな表情を浮かべる。
「あと2日な」
悲鳴が上がった。
「女子高生にカレーばっか食べさせるなんておかしいでしょ」
「なら、食べなきゃいい。その分のお金はおばさんに返すよ」
幼馴染の家と、僕の家は隣同士。
どちらも両親が働いてて、家に帰ってくるのが遅い。というよりかは、帰ってこない方のが多い。休みにはきちんと休んでるから、ブラックでは……たぶんない。
「そしたら、私がご飯食べられないじゃない!」
自分で作るという発想はないのだろうか。いや……科学実験されるのは近所迷惑か。
「なら、食べるしかないな」
食を促す。
「あとまずいなら、食わなくていい。僕の料理が不完全だったということになるから」
「まずいわけないじゃない! もう3日も美味しく食べてるわ!」
美味しいならいいじゃないか、と僕はスプーンでカレーを口に運んでく。
「私女の子じゃない? カロリー高いの気になるわけ、だからもうちょっとさ……」
一呼吸入れ、
「こうフレッシュなのがいいかなぁって」
「そうしたらお腹すいたって、軽食を求めてくるじゃない」
何度もやった。
そして何度も失敗してる。
たくさん食べて、胸ばかりを成長させてる彼女は非常に大食いなのだ。
よそってあるカレーは僕の1.5倍。
これをフレッシュなのにすると、0.6倍の量になる。
どう考えても足らなくなる。過去がそれを物語ってる。
「ホットケーキ作っちゃうから仕方なく食べちゃうんでしょ。もっとシンプルなのでいいのよ」
「僕は君のメイドでもなんでもないからね。コンビニで買ってくればいいじゃない」
「お小遣い少ないの! なら、ママからもらってる私の食費頂戴よ」
「それはダメだ。全部お菓子に使う気だろうから、死守するよ」
お世話になってるおばさんに申し訳がつかなくなるしね。
「なら、カレーはしばらくいいからね」
「それはそうだよ。毎日毎週毎月カレーというのはないから。でも毎月は……あるかも」
訪れる静寂。
「わかったわよ。おとなしく食べるから。冷めちゃうと美味しくないし」
スプーンを運ぶ彼女は、とても美味しそうだった。
無論、いろんな意味で。。。
食卓の日 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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