登校は後輩と。
朝ごはんを食べ終わり、歯を磨く。早々に歯磨きを終わらせ、今は部屋でトロトロ準備している。
登校まで10分しかなかったので急いでポーションを飲んだのだが、賞味期限切れだったようで口が死んでいる。効果はかろうじてあったものの朝から最悪な気分だ。
これもプロアをテレポートさせたせいだ。が、仕方がなかったと思う事にする。
普通なら、つまり本人が抵抗しなければあれほどの魔力消費はしないのだが、まあ咄嗟に魔法をかけられて抵抗しないのもどうかと思うが、出来れば素直に受け入れて欲しかった。
既に大半の寮生が登校し終わり先ほど放送で登校を促す舎監の声が聞こえている。お仕事お疲れ様です。
そして今の今まで無視し続けていたフィルカに声をかける。
「で?、何やってんの?」
「なにって、先輩を待ってるんですけど?」
「いや、俺このまま遅れるつもりなんだけど……」
急いで飲んだポーションに急ぐ気を削がれ完全に遅れるつもりだった。
その旨をプロアに伝えにいったのだが、プロアの部屋にいたフィルカがなぜかつてきてこうなっている。
「じゃあ私も遅れちゃいますね。早く準備してください。まだ急げば間に合いますよ?」
ベッドに荷物を置き、腰かけている。何が面白いのか顔に微笑を浮かべている。黒髪をしきりに指でいじっている。
髪型はショートボブだ。理由は洗いやすいかららしい。そんなもんか?
「じゃあ、着替えるからちょっと待って。」
教材は適当にユタから借りる事にする。俺が遅れる分には毎度のこと過ぎて叱られないのだが、これでも優等生で通っているフィルカを遅刻させたとなったら、担任から白い目で見られるし、フィルカの評価にも響きかねない。
「はーい。」
「いや、出てけよ。なに平然と居座ってんだよ。」
「え~~。何今更恥ずかしがってるんですか??思春期ですか?」
無視して着替え始める。パンツ以外全部脱ぎ、上半身から制服を着る。普段は普通に着替えるのだが、ささやかないやがらせだ。バリバリに鍛えているわけでは無いが、恥ずかしくはない体をしていると思う。
着替えながら会話を続ける。
「そういや、何でプロアの部屋に居たんだ?」
「あ~。合同演習会の打ち合わせですよ。はい。プロア先輩に呼ばれたので。」
そう言えば朝、プロアはフィルカと組むとか言ってたな。
「ふ~~ん?、あ、知ってるかもだけど俺テぺと組むから。よろしくな。」
前回はフィルカとペアを組んで参加したのだ、ただ二回連続で同じペアは禁止されているため、いままで会話に出てこなかった。
「知ってますよ~。昨晩、テぺが泣きついてきて大変でしたから。」
「えー、、、、」
ペア選びそんなに大変だったのか?、確かにテぺと張り合える生徒は中々いない。
つーか最終手段が俺なのか?何というか少し悲しい。
そうこうしている内に準備が終わる。鞄を肩に掛けて、財布をチェックする。
「よし!、行くか。」
「はーい。」
ドアを開け廊下にでる。俺達以外既に登校してしまったのか静まり返っていた。既に消灯していて薄暗い。
「どうします?玄関からだとバレますけど。」
寮則で週2回登校時刻に遅れると外禁という処罰を食らってしまう。休日に外に出られないのは結構きつい。
ちなみに既に1回遅れているので次でアウトだ。
フィルカもそれを知っている。
「あー、うん。窓からいくしかないな。」
「”隠蔽”使っても良いですよ?」
「いやいや、今日は実戦だろーが、無駄な魔力抑えとけ。プロアに叱られるぞ?」
「まあ、先輩が言うならそうしときますね?」
お言葉に甘えることにします。っと付け加えて、フィルカは歩きだす。
自分もそれに追随する。
この寮はかなり広い、そりゃあ全学年の生徒を一つの寮に集めてるから多いいのは当たり前なのだが、このマレニカ魔法学院は将来を約束された人材しか入学することのできない超名門だ。成績最下位の生徒ですら就職先には困らない。
それ故に一生徒の扱いも指導面ではともか、く生活面ではとても優遇されており、基本的に一人一部屋、さらにその部屋もかなりの広さでさながら”貴族の一室”っといった部屋も少なくない。貴族出身の生徒は専用の付き人を自ら雇って身の回りの世話をさせている。
因みに裏口入学といった不正行為は存在しない、昔はあったらしいが。
つまり皆が皆ある種の“秀才”なのだ。この学院には入って初めて上を知る生徒も中にはいる。そこで踏ん張れるかは己次第だ。
俺も経験した。フィルカでさえしている。
「そういや、売店のあれ食べた?、結構旨かったぞ?」
「生憎、昨日は夜まで寝てましたから、新作は食べてないですね~。」
「勉強しろよ。」
「先輩に言われたくありませーん。」
「いや、俺はあれだ、短期集中型だから、うん。」
「試験週間に必死に詰め込んでるだけじゃないですか!!、カッコイイ言い方しないでもらえます??」
「そうとも言う。」
「はぁ、日頃からコツコツやった方が簡単ですよ??、私が言うのもなんですけど。これでもしっかり結果を出してますから。」
「性格の問題かな~。」
そうこうしているうちにバルコニーに着く。ここは7階なので大体13メートル程の高さだ。
扉を開けると風が吹き込んでくる。涼しい。タっっと手すりに飛び乗る。
フィルカもそれに続く。風が気になるのかスカートを手で押さえ、片方の手で目に掛かる髪をかき上げている。
「いくぞ~。」
無言で親指を立てられる。準備万端らしい。
「よっっと。」
勢い良く角を蹴り、空に体を投げ出す。浮遊感、慣れたら案外心地良い。重力に従い放物線を描きながら落下する。
落ちる最中フィルカを確認すると"浮遊”を使ったらしく空に浮いていた。相変わらず詠唱速度が早い。
俺も地面に着く際に小さく”浮遊”を発動させ着地する。直後勢いよく瞬間的に”跳躍”と”身体強化”を付与して空へと跳ぶ。
フィルカのように”浮遊”を使い続けてもいいのだがこっちの方が魔力消費量が少ない。
「おーい。」
降下。
「今日もーーー」
降下。
「かわいいーーー」
降下。
「ねーー」
ーー衝撃
フィルカに蹴られる同時に”浮遊”を発動させ体勢を整える。これ、普通に”隠蔽”使って登校した方がよかったような…………。
いや、どうせ間に合うために”疾走”を使っただろうからトントンなのか?
「いてぇーー。」
「自業自得ですよ。ほら、早く行きますよ?」
呆れた表情を浮かべている。
「へい・・・・・・」
”浮遊”を使って移動する。グラウンドを超えた先にある学び舎を目指し速度を上げる。
魔法学院の日常のつもりだったけど、ただ、主人公と女子がいちゃつくだけの話。 @gurennsutera13100512
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