episode2
電車は俺たちが降りると同時に閉まってしまった。そしてどこかへ真っ直ぐ進んでいった。か弱い少女の頭を撫でながらベンチに座らせようと歩いた。
「どうしてこんなところにいたの?」
すると少女は泣き出した。
「お母さんがいなくなちゃったの。もう、お腹が空いたのにぃ…。」
お腹が空いた。俺はポッケなどを探って何かないか探した。しかしなにもなかった。少女の頭を撫でながらベンチに座らせた。
俺は少女をおいて立ち上がりホームを見渡した。
たたらま駅 と書かれた看板がある。黒く汚れていたけれど見える。たたらまの字の下には矢印で東あだち、西おわりと書いてあった。すると後ろから何か聞こえた。はじめは気の所為だと思ってしまうほど小さなものだったが次第に大きくなって耳元ではっきり何か聞こえた。声のようなもの。後ろを見ると壁だった。その壁には何か書いてあった。
「ココニハクルナ」
その字は歪だったが間違いなくそう書いてあった。俺は顔を顰めてカイトに言うと焦りながらこう言った。
『ショウタ、たたらま町について説明する。』
「お願い。」
『まず、たたらま町は異世界の町。ある女性が突然深夜に投稿したブログが元で有名になった。その女性も気づいたら電車の中にいて、運転手にここはどこか聞こうとしたら「たたらま駅」と放送がなった。今のショウタと同じ。たたらま駅の次はおわり。終点。つまりあの世ってこと。たたらま町は公園、お寺、映画館がある。公園は子供の霊が住み着いている。お寺はこの町の神様。映画館は大きな蜘蛛の霊が目撃されている。そしてこの町にはもう一つ噂がある。
怪物が住み着いていること。この町に閉じ込められた人間が飢餓で亡くなり人間じゃなくなってここに来た人間を食い荒らすと。』
怪物に神様。どれも信じがたい話だ。俺は一度少女を見て言った。
「どうしたら出れる?」
『う〜ん、なんか公園とお寺映画館の中に扉があるんだって。その扉全て入れば出れるらしい。』
「嘘くさっ。」
『しょうがないだろ、オカルトアプリ頼りなんだから。』
そう言いながら仕方なく少女を連れながら歩いた。途中でトンネルを見つけた。トンネルには「たたらまトンネル」と書かれていた。そのトンネルは不気味だった。俺たちは不気俺たちは仕方なくトンネルに入った。するとドン…ドン…ドンと太鼓のような音が聞こえた。俺は嫌な予感がして走った。少女の手を引いて。暗い暗いトンネルの中には太鼓の音が響き、俺は追いつかれては行けないと思った。目の前には誰かいた。すれ違うときはそいつは俺を真っ黒な目で見ていた。鳥肌が立った。気づいたら太鼓の音は消えていた。呼吸を整えながらトンネルを抜けた。むせる少女に謝りながら休憩してまた歩き出した。公園はどこにあるのだろう。辺りを見渡しながら日の暮れる町を歩いた。少女は疲れたと言うから途中にバス停で座らせた。
俺はバス停にあった地図を見た。本当に知らない地名。公園はあった。あさかた公園。とても大きな公園だった。俺は少女を連れてあさかた公園を目指した。
『…ショウタ。』
「何?」
『……あーやっぱり後ででいいや。』
「なんだよそれ。」
そんな会話をしていたら公園があった。急に空気が変わったような気がして足が止まった。少女は不思議そうに俺を見上げていた。公園は異様な雰囲気が漂っていた。しかし俺は少女の手を引いて吸い込まれるように公園に足を運んだ。
たたらま駅編完。
次話 あさかた公園編。
実況はショウタ、解説は友人カイトでお送りします。
たたらま町 桐崎 春太郎 @candyfish
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