【短編・改稿前】無人島に行ったら異世界転移に巻き込まれた件について

すたりな

1章1部 無人島に探索しに来たら有人島だった



「ここは...?」


そこは知らない場所だった。。。。


友人4人と無人島に探索しに来たはずだったのだが、なぜか知らない場所に来ていた。


全ての始まり、そうあれは、学校内での出来事だった。。。


俺の名前は阿良々木 空々(あららぎ くうと)。



基本一人で行動することが好きな、人よりちょっと浮いた存在だった。



そんな俺が仲良し3人組と言われるクラスメイトに声をかけられたのだ。



「無人島探索に行かないか?」



なぜ、俺を誘ってくるのかがわからなかったが、ちょうどやることもない。

せっかくだし行ってみることになったのだ。


それがこんなことになるなんて。。。。







なぜか、街中に居るのだ。


全く意味が解らなかった。



街中はどうも中世っぽい石造りの軒並みが続く。


どこを見渡しても日本じゃない、それどころか無人島探索に来たはずなのに海すら見えなかった。



戦時中なのだろうか。

甲冑に身を包んだ人たちが目立つ。


みな装備は傷だらけで、ところどころ赤茶色に染まっているので、やけに治安が悪そうに見える。


なによりも、日本の街並みにない露天商が目立つ。


「兄ちゃん、異国からきたのかい?」

突然話しかけられる。


露天商の一人だった。

取り扱ってるのは主に防具というか、衣類に近いものの店だ。


スキンヘッドの大型の男。

俺自身160cmぐらいしかないから、その男は大体180cmぐらいだろうか。


「ああ、よくわからないが迷い込んでしまったんだ」

そう伝えると


「あんちゃんもか、大変だな」

そう言ってくるからには、おそらく他にも心当たりがあるのだろう。


その男に尋ねてみる

「他にも俺のような奴がいたのか?」


すると大男は言いにくそうに、

「憲兵団に連れていかれたぞ」

そういったのだ。


「憲兵団?そいつらに聞いたらわかるのか?」

素朴な疑問だったので聞いてみたが、話を聞くととても素朴なんて状況ではなかった。


どうやら、この町の憲兵団はスパイ容疑のかかったやつを捕まえ拷問するやつらの事を指すらしい。

そして連れていかれたやつは、まず戻ってこないのだという。


「女がいたが、あんちゃんの恋人なのか?」

恋人?この大男は何を言うんだ。。。

別にそんな関係じゃない。


「いや、そうゆうわけでないんだが、それはいつ頃だろうか?」

そう尋ねてみる。


つい2時間前ぐらい前だという事だ。


なんでもそのグループは悪態をついていたらしく、通報があって憲兵団が来てしまったのだという。


「あんちゃんもお金が無いんだろ?」

そういわれるには十分な理由があった。


俺はTシャツとジーパン姿で、街の雰囲気に合わない格好をしているからだ。


当然そんな格好していれば目立つわけだ。


「売れ残りでゴミとして捨てる予定の衣類があるんだが、これでも着といたほうがいいぞ」

そういうと一式渡してきた。


「お金がないとわかっているのにくれるのか?」

そういうと


「その上に着用してるものと交換でどうだ? なかなか素材は良さそうだしな」

男の目に一瞬光が。なるほど、ただのお人よしじゃなく、これが狙いだったか。


してやられた感はあるが、かと言ってこのままの格好でいるのも確かに目立つし、

Tシャツはそこまで高いものでもないのでありがたく交換させてもらうことにした。



ついでにこの世界の常識についても尋ねてみる。


この国はグランドフォート王国というらしい。

通貨単位はBitで、大体宿に一泊するのに30bitぐらいが相場との事。

当然高い宿などはもっとするので、1bit約100円といったところだろう。


またこの国だけでなく、冒険者ギルドというのが各地にあり、登録して活動すれば余所者でも冒険者として生計を立てることができるらしい。


現在、北国との戦争中で、尚且つ南では魔物が暴れまわってるとの事で、

魔物の襲撃と北国の侵略に脅かされている真っ最中との事。


状況が読めない俺としては、いざという時に自由に動ける冒険者として登録したほうが良いだろうとの事。


ここまで親切にしてくれるには理由があり、

「あんちゃんには何かあると俺はにらんでる」

のだと。商人の勘ってやつか。当たるといいな。お互いに。


お礼を言いその場を後にする。

冒険者ギルドというとこに行ってみようと思う。

そう、これはここにいる理由にもつながるんだが、俺はあるアクセサリーを持っている。


それが何かを話すには、ここに来た時のことから始める必要がある・・・



なぜ無人島に行こうと思ったのか?


いきさつはよくわからないが、

発起人は夢野姫奈(ゆめのぴいな)という女の子だ。


俺よりも若干身長が高く、とても明るく友好的なイメージといったところだ。



姫奈は女子同士でつるむというよりも

男子に混じっていることが多いようだ。


空々くうとくん、楽しみだよね!」

そう話しかけられたのだが、何が楽しみなのかわからない。


そうだね。とだけ言っておく。


ちなみに服装はちょっと変わっている。

青色のキャミソールに10センチぐらいの桃色ミニスカートという服装。


当然上下赤色の下着も見えているのだが、

本人曰く水着だから見えても良いらしい。


「くうと、誘ってよかっただろ?」

そう言うのは俺を誘った友人の宮下皇帝(みやしたしいざあ)だ。


用意した雑具のもろもろは皇帝が用意した物のようだ。


無人島行くのになぜかタキシードっぽい服装をしている。


特に親しい友人というわけでもないのに、なぜ誘われたのかが分からない。


どうやって用意したのか知らないが、

集合時モーター付きのゴムボートが用意されていた。

これで無人島へ行くようだ。


無人島というのも、領土問題でそこそこ話題にあがる島のようで、

本来勝手にいけばいろいろ問題があるのだが、

当人たちはまったく気にしていないようだ。



「おっしゃああああああああああああ、未開の島の探索だあああああ!」

そこのテンションが高いのが、朝倉悠斗(あさくらゆうと)だ。


ランニングに短パンという、虫取り少年を連想させるような恰好をしている。


こんなメンツどうやっても目立つのは必至で、すれ違う人の視線が痛い。



「なぁ、皇帝(しいざあ)、このメンツ何の集まりだ?」

思わず聞いてみた。


「姫奈ちゃん、可愛いだろ?俺たちもやっと仲間になれるんだ」

何のことかわからない。


「確かに可愛いとは思うが、しかし、あの刺激の強い恰好は何だ?」

それもそうだ。俺の住んでる町は港町とはいえ、あの格好はいかがなものだと思う。

海辺での格好と言えばおかしくはないが、集合前から着ているわけだ。


「なんだ、くうと、しらないのか?」

何のことが分からない。


話によると、姫奈(ぴいな)は卒業までにあることをやり遂げるために

こうして何かの理由を作って集まってるらしい。


今回の行き先が無人島というだけで、行き先は実際関係ないらしい。

その先の目的のほうが重要っぽい。


「まずは雰囲気が大事だと、焦ったら仕損じるから気をつけろよ」

皇帝(しいざあ)はそういうと、納得だけしておく。


俺もそんな年頃だから興味がないわけじゃないが、

あまりにも露骨すぎるからどうなんだと思うからである。



そしてゴムボートに乗り、モーターの電源を入れ無人島に向けて走り出したのであった。



その途中、他の男は姫奈(ぴいな)にひたすら媚を売ってる感じで話しかけている。

節操がないのかお前らは...。



俺はやることがないのでボートの行き先の微調整をしている。


そうこうして砂浜に乗り上げ無事島に到着したのだ。



その島は、本気で走れば30分かからず一周できるぐらいの広さしかない。



島の中心に不思議と生い茂ってる森があるのだ。


俺たち4人はその中へ入っていく。


姫奈は、なんかそわそわしながら先頭を歩いている。

皇帝は、周りの森に何かを探すように続き、

悠斗は、やたらハイテンションで全く落ち着きもなく騒ぎながらもなんとかはぐれずについて来ている。


突然、3人の足が止まった。


目の前に、10歳ぐらいの女の子が仁王立ちで立ちはだかったのだ。



立ちはだかった女の子は10歳ぐらいにしか見えない。


びっくりして声も出ない俺たちを気にもかけず話しかけてきた。

だが謎の少女の発言はさらに驚かされるものであった。


「あなたたち、なんでこの島に来たの?調査しに来た人たちには見えないけど~?」

「あなたこの島の子なの?お父さんとお母さんはいるの?」

そういうと姫奈は堂々と言葉を続ける。

「なんでこの島に来る人間は同じことを言うのかしらね~。」


ん?なんか違和感を覚えるな。

この場に居てはいけない、俺の中の何かが、あるいは外かもしれないが、とにかくそう言っている。


「まあいいわ、ちょうどリソースが足りてないところだったし、あなた達でいいわ~」

少女がそう言い終わると、急に眠気に襲われ、その場に倒れこんでしまった。




暗闇の中、どこからか声が聞こえる。


「次はあなたの番ね、名前はなんていうの~?」

俺は『阿良々木空々』と答えようとしたが、声が出ない!


「くうとくんっていうのね、よろしくね~。」

「それと今は声は出せないけどちゃんと伝わるから安心してね~」

舌が動かない。というかこの暗いのは瞼も開けられないからか。次は俺?そういえば他の3人はどうなったんだ?


「ほかの子たちも同じように送り出してきたから安心して頂戴ね~。」

どうゆうことなのかさっぱりわからない。これでどう安心しろというのか。しかし、俺の心を読み取っているようだし、おそらく人間以上の存在であろう。正直不安しかないが、とりあえず信用するしかないか。


「君だけはまともで良かったわ、他の子って下心しかないんだもん」

確かに、それは思ったんだがあえて言わなかった。


「さて、くうとくん、君はある世界に旅立ってもらおうと思います~」

ある世界?旅立つ?ていうかお前は何者だ?


「あなた達で言う異世界の管理者をしてるんだけど、ちょっと問題が発生したんですよ~」

問題?


「そうなのよ!それで向こうに何人か送り込んだんだけど、解決には至らず、状況は日々悪化するばかりなの~」

つまり、俺にそれをどうにかしろと?


「そう、正常化して欲しいのよ~もちろんただ行ってもらうだけでは死ぬだけだわ~」

なんか物騒な話だな。ラノベとかでチート能力をあげるとかそんなとこか?


「チートって意味は分からないけど、向こうに送る人って力をあげるとみんなそう言うのよね~」

という事はそれだけ強い力という事か。他の3人にも力を?


「そりゃあもちろんあげたわ~。使いこなせるかは当人次第だけどね~。」

とりあえずどんな力なのか聞いておこうか。


「簡単に言うと3つの力をあげています~」

3つなのか。なんだろうな。


「1つは異世界言語能力、どのような種族とでもお話しできる能力ね」

まあ、これは必要だろうな。


「2つ目は、成長上限無効の能力ね」

上限無効ってことはどれだけでも成長できるってことか


「3つ目は能力付与のアクセサリーね」

ん?なぜアクセサリー?



「送り込む世界によって必要な能力が違うのよね~」

「だから通常の習得過程を飛ばして、必要な能力をすぐ身に付けれるほうが便利でしょ~?」

なるほど一理ある。


「ただし、24時間以上手元から離れるとそれ以上付与することができなくなるので注意してね」

なんだその制約は?


「不正利用防止ってことで納得してね~」

「一度でも付与したら手元から離れても無効にはなならないから安心してね~」

まあ理由は分かった。で、転移してからまずは何をすればいいんだ?


「そこそこ安全なところに飛ばしておくからあとは自分で考えてね~」

何その無責任な発言。チュートリアルないの?


「じゃあいってらっしゃい~」


せめてヒントの一つや二つと訴えようとしたら、まぶしい光が差し込み、すべてが白に溶けていく。


光が収まると、そこは石造りの町並み。人気のない石畳の裏路地の隅でへたり込んでいた。


そして服屋のおっちゃんに出会い、今に至るのであった。





====

こちらの作品は3年前に初公開した改稿前のデータを短編版としてあげました。

今の連載版はきちんと改稿してあるので読みやすくなってると思います。

是非とも本編も見て頂ければ幸いです。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

【短編・改稿前】無人島に行ったら異世界転移に巻き込まれた件について すたりな @sutarina

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ