第10話 残り火

「残り火」


まだ消えない

まだ燃え尽きない

鈍痛に苦しむ朝のように

君への思いに

のたうち回っている


まだ消せない

まだ燃え尽きていない

眠れない夜のように

君との出来事に

苦しめられている


緋色の熾火は

秋の夕焼け

そこだけが燃えている

緋色の思いは

心の濁り

そこだけが沈んでいる


君を許すことができるのだろうか

今なら

きっと今なら

僕を許してくれるのだろうか

今なら

それはわからない


まだ消えない

まだ消せそうにない

ちらちらと燃える余炎のように

どうしようもないことにこだわっている

忘れてしまえばそれで済むこと

それはとても簡単なこと

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残り火 詩川貴彦 @zougekaigan

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