分割
バブみ道日丿宮組
お題:ちっちゃな第三極 制限時間:15分
分割
「あそこにある場所にいくと、身体が3つに分かれるらしい」
「それは危険なのでは?」
「危険だ。だが、人の興味という欲求は抑えることができない。ほら、見て」
「子どもが近づいて……引き裂かれた……?」
「今回は肉体の分割が行われたか」
「身体が3つって、肉体の分割以外にあるの?」
「魂やら、瞳やら、腕やら、3つに分かれる場所は限定されてない。もっとも、一番多いのは今の子どもに起きたように身体が破壊されること」
「政府は封鎖しないの?」
「封鎖しようと近づけば、それだけで分割されるから対処できてない」
「それって、だいぶ距離を離せばいいんじゃないの?」
「それでもダメみたいだ。封鎖するという意思が発生した段階で、その意思が分割される」
「物質じゃないから、触れてるようなものってこと?」
「さぁどうだろうね。詳しいことは依然としてわかってないから」
「なんにしても近づかないほうがいいってことはわかったわ。でも、なんでこんなところに連れてきたの? グロいのを見せるため?」
「まさか。研究材料の一つとしてあれを見せたかっただけだよ」
「そう……。でも、とても研究したくなるようなものじゃないわ。下手すれば、生命の危険があるのはあまり受け付けたくない」
「知識として知っておいたほうがいい部分ではあるね。行ってはいけない場所には絶対に行ってはいけないという教訓を作ってくれてる」
「被害者ばかりが増えるってのはどうかと思うわ。知らずに近づいて、3つに分かれるなんてよろしくない」
「そうだね。だからこそ、政府は分割された思考の中でどうにかしようともがいてる」
「結果、死者が増えたとしても?」
「そう。彼らにとっては、一つの材料でしかない」
「教授もわたしをそんなふうに思ってるの?」
「まさか」
「いやでも……こんな怪しい場所に連れてくる必要はないでしょう」
「知らないよりは知ってたほうがいいこともある」
「……そうかもしれないけれど、納得はしづらいわ」
「では、その身体に直接教えるとしよう」
「なにをするの?」
「ここでは捕まるからね。ホテルに戻ろう。そこで3つに増えたものを体験させてあげよう」
「よくわからないけれど、わかったわ。多少興味があることだし」
分割 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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