俺は盗作なんかしていない

アオヤ

意識の共鳴共振

 俺が登録しているWeb小説の運営から突然、アカウントと小説の削除を告げるメールが届いた。


 “貴方の小説が盗作の疑いがあります。

 また、コメントについても不適切な内容が  含まれていると判断されましたので、貴方のアカウント及び小説は削除させて頂きます。”

という内容だった。


「どうした、翔?思い詰めた様な顔して?」


「あぁ?裕二か?いや大した事ではないよ。俺のメアドにこんなメールが届いてな・・・」


「翔、Web小説なんてやってたんだ。また、以前みたいにお前の正義をゴリ押ししたんだろ?お前の正義は相手の正義ではない!前にそう言ったよな!」


「あぁスマナイ! またやっちまった。」


「全くお前は夏目漱石の坊ちゃんだな!無鉄砲でストレートで!あれ?お前のアダ名だったよな?」


「・・・忘れた!」


「思い出した。お前、国語の授業中を朗読していて、と言うところをと読んだんだ。俺、額からサラが飛び出す映像がうかんで、オカシクて教室を出たんだった。」


「・・・俺は忘れた・・・」


「それで・・・ 今回は何をやったんだ?」


「ある人の小説を読んでたら、俺の書いてた小説となんとなくなく似ていて・・似ているところを指摘して、“こうした方が良くなりますよ”なんてコメントしたから反感かってしまった。」


「あぁ〜! また前回と同じか? 翔、意識の共鳴共振って言葉があるんだけど・・・ 詳しくは自分で調べろ!」


「簡単に教えてよ!」


「いいか翔?例えば夕方虹が出ていたとする。お前や沢山の人が見る。そこから、天使を想像する。発展してキューピットとなる。そして、TVで動物番組を見て、動物とキューピットが関係づけられる。主人公の名が同じなのは、まあ〜偶然だろうな!」


「俺が運命的なモノを感じたのはテレビから誘導されたツクリモノだったの?」


「まあ〜 そんなトコだ! そこからお前は何か繋がるモノがあると錯覚したからこうなったんだよ!」


「俺の錯覚で、本当に申し訳ない。」


「全く、“バカは死ななきゃなおらない”というが・・・・ ところでなんでWeb小説なんかやろうと思ったんだ?」


「あぁ〜! 俺にも分からなかったんだが・・・ ここ数ヶ月くらい朝、目が覚めるとセミの鳴き声がずっとしているんだ。」


「春にセミの声? 耳鳴りか?」


「医者に聞いたら“死ぬまで治らないかもしれない”と言われたよ。俺のユニークスキルが失われてしまった。」


「・・・・・・・・・」


「真面目な話しに冗談を混ぜてすまなかった。   最初は気付かなかったが、Web小説を書きはじめたのはたぶん俺の終活なんだと思う。」


「翔?お前死ぬのか?」


「いや、すぐには死なないと思うよ。でも、娘達に“俺の物語り”を残したいと思うようになった。」


「その物語りも消えてしまって残念だったな!」


「いいか裕二、まだ諦めていない。俺は娘達に“俺の歌”を残そうと考えたんだ。」


「お前・・・ 翔の音痴な酷い歌なんか誰も聴きたくないぞ!可哀想だからそれだけはやめてくれ!」


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俺は盗作なんかしていない アオヤ @aoyashou

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