最終話「酒と男とアンドロイド」

学生会長マスター、昨日は呑み過ぎですよ。いくら初めて参加した同窓会で卒業以来二十年ぶりに御学友に再会したとはいえ記憶がなくなるまで呑むのは感心出来ませんね」


「うるせえよ…つか同窓会?え?俺、昨日同窓会行ってたの?」


「はい。ではプロジェクター機能でお映ししますね」


 そう言うと鷹花おうかは目から光を放ち、俺の部屋の壁に昨日の映像を映し出した。可愛い容姿とは裏腹に目からビームを出しているみたいで物凄く不気味だ…

 その映像によるとどうやら俺は同窓会に参加してはめを外しすぎたらしい。

 そして、その場にいた当時の学生監査部(学生会長を監視する機関)だった俺の級友達と鷹花が手を組んでこのを仕掛けたという…

 気づくわけあるか!!!

 昔の鷹花なんての受付をしていた気味の悪い人型ロボットみたいだったのに、今目の前にいるこいつは人間そのものじゃねえか!…いや、目から光を放つのは受付をしていたやつよりも気味悪いけども。

 ちなみに鷹峰たかみね鷹花おうかという名前は言うまでもなく、鷹峰おうほう学院の創立者の鷹峰たかみね鷹峰おうほう氏に由来している。

 鷹峰氏は子供がいなかったため、当時の俺の提案に快く乗ってくれたが、残念ながら六年前に亡くなっている。遺言によって葬式は開かれなかった。

 それはともかく、俺は騙されたらしい。

 まさか騙されたと理解わかる事がこれほど安心することだとは思わなかった。

 自身の無実を確信してホッと胸を撫で下ろすと共にある考えが俺の頭の中に去来した。

 そして、俺はそれを口に出した。


「ふぅ、よかった。マジで淫行で逮捕とかにならなくてよかった。ところで鷹花おうか、もう一回パンツ脱いで股間を見せてくんない?つか中がどうなってんのか確かめたいから出来れば触らせてくんない?あ、あとおっぱいも揉ませて」


「………」


 その時の俺を見る鷹花の視線、まるでを見るようなその視線を、俺は生涯忘れることはないだろう…


「よし決めた。俺はもう二度と酒は呑まない」


 そう言って俺はテーブルの上に置いてあった飲み掛けのウイスキーを呑み干した。

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もう呑まないなんて言わないよ絶対。…いや、やっぱもう酒やめる 貴音真 @ukas-uyK_noemuY

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