どんでん返し
健さん
第1話
俺の名前は、近藤正彦。このコロナ不況で、煽りを受けて、会社が、倒産してしまい、とうとう、ホームレスになってしまった。なので、住んでいるところは、都内の日比谷公園。公衆便所の隣のビニールハウスが、俺の城だ。サラリーマンだった頃は、逆にこいつらを、見下していた。ホームレスなんて、人間のクズだと。それが、今では、その人間のクズに成り下ってしまった。その城には、何枚かの着替え、常に移動できるように、旅行バック。家電製品も少々。そして、3メートル先の隣には、ホームレスになってから、色々世話になっている、先輩の西城さんがいる。この人は、もう、”ベテラン”ホームレスで、たいがいの物は揃っている。自家発電機まで、所有している。近くのコンビニで、消費期限の切れた弁当を、毎日もらってくるのだが、電子レンジで、温めてもらって食べている。やはり、冷たいより、温かいほうが、うまい。しかも、なんと、こんなところに、古くて小さいが、テレビまで常備しているのだから、恐れ入る。夕食食べた後、ほぼ毎日、西城さんのところで、酒があるときは、一緒に飲みながら、野球見たりしている。日中は、何しているかって?西城さんと、テリトリー決めて、空き缶拾いで、日銭を稼ぐのさ。1㎏、90円。けっこう、このアルミ缶、落ちてるものだ。その日食べれるだけの、稼ぎがあればいいのだ。ある日、いつもより、だいぶ早めに目が覚めた。散歩でもするか。今は、6月だ。時間は、5時30分。もう外は明るく、ちょっと、ひんやりするが、気持ちがいい。しばらく、川沿いを歩いていると、”何かおちてるぞ!”。どうやら、宝くじのようだ。な~んだ。んん?待てよ、1000円でも、当たっているかもしれないな。通りすぎたが、4歩戻って、何気なく、その宝くじを、ポケットの中にいれた。んん、大丈夫のようだ。誰も見てない。そして、早速、10時、時間を、見計らって、近くの宝くじ売り場にて、調べてもらった。60ぐらいのおばちゃんは、怪訝そうな顔をして、それを受け取った。”え~~!!”「どうしたのですか?大声だして。」「1等当たってますよ~~!!1憶5000万ですよ!!」俺は、気絶してしまった。早起きは、三文の徳とは、このことだな。意識を取り戻した俺は、頬をつねってみた。夢じゃないだろうな?大丈夫だ、少し痛かった。善は急げだ。俺は早速三菱UFO銀行に行って、換金しに行った。認証するため、1週間かかるとの事。首が、長くなったが、1週間待った。そして、特別室へ。”その日から読む本”を、渡されて、説明を、受けた。そして、このとてつもない札束を、旅行バックに詰めて、銀行を後にした。見てるやつは、”宝くじ当選して、取りに来ました。”と、言ってるようなものだな。警戒しながら、ようやく自分の城についた。少し震えているのに気づく。”やったぞ~!これで、底辺の生活と、おさらばだ。俺は、ついに、大金持ちになったのだ。イヒヒ。”と、喜んでいると、「ちょっと、すいません。」「はあ?何ですか?」外に出て見ると、サラリーマン風の男が、立っていた。そして、いきなり、名刺を差し出してきた。何々?(三菱UFO銀行、統括マネージャー、田原年彦)と、書いてある。「え?銀行の人?」「はい。実は、支店長に頼まれて、来ました。”護衛”の意味もありまして、後をつけてきました。それで、どうでしょうか?ここに、大金置いていても、危ないですよ。泥棒一杯いますからね。うちに預金して頂けないでしょうか?支店長も承諾しているのですが、普通の金利は、0.2%ですが、今回特別5%でいいと言うことなのですが。」「え!5%も?」「うちの通帳は、お持ちですか?なければお作りしますよ。」「前の会社の給料で、引き落としていたので、持ってますよ。」「それなら、ちょうどいい。この大金を預金しておきますよ。必要な時、カードで引き下ろしてください。通帳は、明日でも、お持ちします。」「それじゃあ、お願いします。」あれから、2日経ったが、田原さん通帳持ってこないなあ。忙しいのかな。俺は銀行に行った。女性行員に言った。「すいません、統括マネージャーの田原年彦さんいらっしゃいますか?」すると、行員は、「統括マネージャー?そんな役職うちには、ありませんし、田原という者は、在籍しておりません!」「何だって!!ひょっとしたら、俺、騙された?警察?無駄だろう?ヤツは、もう日本には、いなくて、どこか、高跳びしているだろう?しかも、警察に何というのだ?拾った宝くじ1等当選して、銀行に換金したら、詐欺にあったとでもいうのか。あー、めんどくせー!こうなったら、100万でも手元に残しておけばよかった。しかし、田原、どうして、宝くじの当選金換金したのを、知っていたのか?やはり、旅行バックだからなあー。見破られたか。俺は、城にもどり、しばらく落ち込んで、動けなかった。-----。翌日俺は、いつものように、空き缶拾いしていた。おや??何だ?何か落ちてるぞ。よく見ると、今度は、ロト6じゃないか。ひょっとしたら、ひょっとするかもしれないぞ。こうなったら、5等の1000円でいいずら。宝くじ売り場に行って、見てもらった。「2等当たってますよ。1000万円です。おめでとうございます!」やったぞー!今度こそ騙されないぞ。すると、声がした。「おい!近藤君、今日は、日本酒が、手に入ったから、一緒に、飲まないか?」西城さんだ。ってことは??何だ夢か?いつの間に寝ちゃったのね。一応、頬をつねってみた。すごく、痛かった。
どんでん返し 健さん @87s321n
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。どんでん返しの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます