水玉雨々

夏伐

水玉雨々

 色とりどりの傘が流れるように校舎から校門へと向かっていく。


 カラフルな水玉が、窓から眺める景色を彩っていく。窓に着いた雨のしずくがそれをより色鮮やかに映している。


 その景色は、何だか転がる飴玉のようでずっと見ていられる。


 誰もいなくなった教室で、僕は窓から階下を眺める。


 嫌いな人も好きな人も、今はただ判別することは出来ない。ただ、彼らは、この景色を構築している。それだけだ。


 だから梅雨が大好きだ。どんな思いでカラフルな傘で彩られて楽しいものだと思える。


 人のことなど考えずに、ずっと景色を楽しめる。


ずっと雨であればいいのに、そんな空想をしながら僕はまた地面を流れる水玉の群れに目を落とした。

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