18.「孫子」第八章・九変篇/2
「知恵者は、常に一つのことについてメリットとデメリットを考える」というのが孫子の考えるところです。
メリットあるところにデメリットあり。
デメリットあるところにメリットあり。
双方の存在を考えて、メリットを得るように、デメリットを避けるように動く。
死中に活路を見いだし、成功の中に失敗の種を見いだすように、メリットのそばには常にデメリットがある、デメリットばかりと思える中に、実は活路が隠れている。
そうしたことを知悉している人間は、良い判断をすることができます。
逆にそういう考え方をできなければ、常に不安との戦いになっていくことでしょう。
大切なのは、「メリットはこちらや味方が得る、デメリットになりそうなものは敵に押しつけるものだ」と割り切ることです。
デメリットがあるからといってこちらが素直に甘受する必要はないのです。
「やばい状況」は敵国に押しつけるのが筋です。
一方で味方につけたい国には、相手の利益になりそうなものを約束して、連携できるようにするのが上策と言えるでしょう。
◇◇◇
戦争の基本は、「あくまでも戦場をコントロールするのは自分自身だ」ということを知ることです。
「敵が来ないといいなあ」と期待だけしてそなえをしないのは、愚策というほかありません。この(春秋戦国時代は)誰が裏切って誰が攻めてくるかは全く流動的であるからです。
大切なのは、いつ敵が来ても対応できるようにそなえること。
同時に、迂闊に攻撃されないようにそなえること、です。
◇◇◇
将軍には「五つのリスク」が常につきまといます。
蛮勇すぎると殺される。
臆病すぎると捕虜にされる。
短慮すぎると侮られる。
高邁すぎるのは挑発されて莫迦にされる。
下々のことを考えすぎると想像以上に神経がすり減る。
こうしたものは、将軍の身から出た錆に他なりません。
単に「そうある」だけならばまだいいのですが、これらは将軍を殺す要因になり得るものです。
ゆえに、余計に気をつけて、できるだけそこに付け入られないように留意しておきましょう。
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