最終話 最高の仲間

 丸一日かけ、街に戻ってきたディリスたちは病院の椅子に腰を下ろしていた。


「――ディリスさん! こちらへ!」


 医者に頷き、四人は治療室に入る。


「お兄ちゃん!」

「エリーゼ!」


 ディリスはエリーゼに駆け寄ると、思いきり抱き締めた。

 それに応えるように、エリーゼも強く抱き締めてくる。


 腕に力が込められている。

 ここ二週間、感じることのなかった強い力だ。


「エリーゼ。調子はどう?」

「絶好調だよ! 咳も出ないし、今ならご飯も食べられそう!」


 ディリスはホッと息を吐くと、医者も顔を向ける。

 すると、医者は一度大きく頷いてから、笑みを浮かべた。


「エリーゼさんは完全に快復しました! もうご帰宅頂いても大丈夫です!」

「よかったな! ディリス! エリーゼちゃん!」

「あっ、ファインお兄ちゃんだ! それにルーナお姉ちゃんとララお姉ちゃんもいるー!」

「久しぶりね、エリーゼちゃん!」

「しばらく見ないうちに大きくなりましたね!」

「エリーゼ。みんな、エリーゼのために頑張って薬を手に入れてくれたんだよ」

「そうなんだ! ありがとう、ファインお兄ちゃん! ルーナお姉ちゃん! ララお姉ちゃん! お兄ちゃんのお友達は本当にいい人だねっ!」

「うん! 最高の仲間たちだ!」



 ☆



 それから半年後。

 ディリス、ファイン、ララはギルドの会議室に集い、ルーナが来るのを待っていた。


「ごめーん、遅れちゃった! それで? 話って何?」


 しばらくしてやってきたルーナが首を傾げる。

 そんなルーナにディリスは真剣な顔で切り出した。


「ルーナ。悪いけど今日をもって、【慈愛の剣】から抜けてくれ」


(そう、君自身のために――)

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突然パーティーを追放されてしまったけれど、それは全て僕のためだった 白水廉 @bonti-

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