悪魔のコスメ事情
「やっぱ、悪魔って言うと白塗りで一人称が『吾輩』じゃないですか?」
「あれは上級悪魔の頭の良い方の装いだなぁ。」
事件が無い時の今際野探偵事務所の会話はくだらないのだ。
「こちらの警察官でお勤めの時って化粧とかどうしてたんだぜ?」
「すっぴんでムスっとしてると印象が悪いんでナチュラルメイクって感じでした。」
「やっぱ、嫌な事があると顔に出るタイプ?」
「よっぽど酷い人は後で地獄に堕ちるんだろうなって勝手に妄想してますから
いつでも笑顔で徹してるつもりですよー。」
結ちゃんったらやはり潜在的サディスティックが凄まじいぜ!
「って言うかヴェっさんってお肌キレイじゃないですか?
爪とかもピカピカで10万33歳とは思えない的な。」
「ほっぺつねらないで。黄泉還り人間の腕力だと千切れちゃう!」
と言うワケで、鍋に地獄の化学薬品を煮込んでねるねるねるね!
ペーペッケペ―!と言う音がするまでかき混ぜるんだぜ。
「やっぱり、この世界でも美容男子とか流行っているが
悪魔の毛穴のケアはこれぐらいやらなくちゃあな・・・」
「顔洗ってきましたー」
おう。女性のすっぴんを見るのは失礼かもしれんが
やはりナチュラルメイク系で盛り付けてない結ちゃんの顔は
あんまりメイク前と変わらんのだな・・・
「では、塗り付けていくぜ!」
「!おぉう・・・凄いスース―する・・・」
使っているのは魔界のスキンケアでお馴染みの
白塗りパックの如くお肌に浸透していって
これに更なるメイクを施せば製造業の館の主となってしまうのだ!
化粧なのにお肌をケアするという矛盾が発生しているのも悪魔じみているぜ!
「今更ですけどこれって人間にも使えるんですか?」
「海外セレブは秘かに悪魔と取引してプルップルのお肌を確保してるのだ。」
「あ、せっかくだからやっぱりあの人達みたいなメイクしてみましょうよ!」
すると休みを満喫している芹沢綾さんへメールが届く。
「結ちゃんから?お前も製造業に・・・?うわー、超デーモンだわこれ」
この世には玉石混合なモノばかり溢れかえっているが
案外悪魔のテクノロジーが紛れ込んで人類の文明は進化していく・・・
人類よ。技術の進歩に気を付けろ!
ある程度は疑ってかかる事が吉と出て居るのだな・・・
「これって買えばいくらかかるんです?」
「材料がたまたまあったから俺が作ってタダにしたけど
まぁ電卓弾くとこれぐらいは・・・」
「車買えるじゃないんですか!?このメイクってどうやって取るんです?」
「・・・水で取れるが1日寝かさないといかん。」
今際野結、24歳はお肌が更にプルプルになれる代わりに
1日だけ製造業の館の主になったのだった・・・
悪魔の徒然草 滝川ヒロキ @Builder_Takuya107
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