ユウ
夜野るこ
🐕
ユウは私の愛液で濡れた指に自分の唾液をからませて私の口に咥えさせた。私の舌を軽く抑えながら前後に指をゆっくり出し入れする。ほろ苦さが甘さに味を変えるまで何度も何度も。だらしなく私の口から溢れる涎をれろりと舐めて、また私の中を突き始めた。頭上で両手をロープで縛られベッドに繋がれているのでユウを抱きしめることができない。近くて遠いその距離を埋めるにはユウの好きにされるままの従順さで身をあずけるしかなかった。絶頂をむかえた後も舌でかき混ぜられ、反れる腰を押さえつけられる。ぐちゅぐちゅと音をたてて私の身体は悦び、頭の中は真っ白になった。
ご褒美にと首にかけられたのはシルバーのペンダントネックレス。小さな南京錠が付いていて、鍵をされたので外すことは出来ない。ユウはよしよしと満足気に私の頭を撫でる。
ロープを解かれ自由になった両手をユウの頬にあてた。相変わらず冷たい、血の気のない顔。私を見つめる瞳の奥は深い海の底のように暗くて青い。のみこまれそうになるのを感じると身体がぞわぞわして、抑えきれない被支配欲が涙に変わる。
私はユウが何者か知らない。
傘を忘れた雨の夜に、声をかけられて"拾われた"あの日から、私はユウのペットだ。
ユウが本名なのかも知らない。
知る必要も感じない。身体を重ね続けている事実だけで充分だった。
繋がれた首輪を外したくないのは、ユウの深い海みたいな瞳の奥をもっと覗いていたいから。
また、私の中にユウが入ってきて私の首に吸い付いた。そうやって私をのみこんで欲しい。私はずっとユウの中をさ迷っていたい。
ユウ 夜野るこ @ruko_yoruno
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